ザクロ(石榴/柘榴)とその栄養成分や効果効能
|エストロゲンは無いが、美容・美肌には嬉しい♪

食べ物辞典:ザクロ

果物が割れている様子は少しグロテスクにも見えますが、「赤い宝石」と称されるルビーのような赤色の果肉(種衣)が美しいザクロ。フォトジェニックな食材でもありますし、甘酸っぱい風味は他の味を引き立ててもくれるので彩り用としても利用されています。また古くから「女性の果実」と呼ばれ、美容や健康メリットがあると考えられていた食材でもあります。女性ホルモン説は否定されていますが、ポリフェノールを含むことから美容食としても注目されていますよ。そんなザクロの栄養効果や歴史・逸話などを詳しくご紹介します。

ザクロ(石榴/柘榴)のイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:ザクロ(柘榴/石榴)
英語:pomegranate

ザクロ(石榴/柘榴)のプロフイール

ザクロとは

ザクロは宝石にも例えられる透明感のある鮮やかな赤色と、爽やかな酸味と甘みが楽しめる果物。日本でも古くから親しまれている果実の一つであり、世界的に見ても広い地域で食されているポピュラーなフルーツでもあります。生でそのまま食べたり料理のトッピングにも使われていますが、どちらかと言うとザクロを原料としたジュースやジャムなど加工品としての方が馴染みのある食材かも知れません。カクテルに利用する「グレナデンシロップ」もザクロから出来ています。どれも鮮やかな赤色で、見ているだけでも綺麗ですよね。

そんなザクロは植物としてはミソハギ科ザクロ属に分類される落葉小高木の総称、もしくはザクロ属のなかでもPunica granatumになる果実の事を指します。ザクロ属には東アフリカはソコトラ島産のソコトラザクロ(学名:P. protopunica)という種もありますが、こちらは食用として利用されていません。食用とされている種P. granatumには非常に多くの品種や変種がありますが、大まかには観葉植物として花などを鑑賞する「花ザクロ」と、美味しい果実を食べることがメインの「実ザクロ」に分けられます。

現在日本で流通量が多いのはアメリカ・カリフォルニア産の「ワンダフル」という品種ですが、それ以外も食用ザクロとして販売されているものは概ね外国製。日本にもあったのに…と思いますが、日本で古くから育てられていたのは観賞用の「花ザクロ」が主。子供時代に木から食べたことがある方もいらっしゃるように「花ザクロ」の果実も食べられますが、お庭などに植えられているザクロは果物として販売されているよりも酸味が強いものがほとんどです。

ザクロと言えば「赤い宝石」とも言われるように、果実を割ると赤透明のルビーのような小さなツブツブがたくさん詰まっていることが特徴的。この赤い粒は「種」と呼ばれることもありますが、これは種子の表面を覆う果肉質で仮種皮もしくは種衣と言います。ザクロの種は仮種皮の中に入っている白い粒。そのまま食べると固く口の中に残る感覚があるので出す方もいらっしゃいますが、種ごと食べてしまっても問題ありません。インドなどでは種衣の付いたザクロの種を乾燥したものを「アナルダナ(Anardana)」と呼び、カレーなどに酸味をつける際の香辛料としても利用しています。また赤色以外にも水晶ザクロと呼ばれる果皮がグリーンで仮種皮(種衣)が白っぽいものや、果皮は赤いけれど仮種皮が黒に近い濃紫色をした黒ザクロなどもありますよ。

ザクロ(石榴/柘榴)という呼び名の由来については、中国・漢の時代に呼ばれていた「安石榴」が語源とされています。更に中国で「安石榴」と呼ばれた由来については諸説ありますが、古代イランの王朝であるアルサケス朝パルティアを古代中国では“安石”もしくは“安息”と呼んでおり、榴はコブのような果物の形から付けられたという説が有力です。この「安石榴」もしくは短縮された石榴という呼び名で日本に伝わり、当初は字音から「サクロ」と読んでいたものが時代経過と共に訛って「ザクロ」になったのではないかと考えられています。ちなみにザクロの英名はPomegranateで、pōmum(果実)+grānātum(種)=種の多いリンゴが語源であると言われています。

ザクロの歴史

ザクロの原産地はイラン(ペルシア)やトルコなどの西南アジア説が有力視されていますが、その他にもヨーロッパ説、北アフリカ説など諸説あり断定されていません。“東部地中海地域で栽培される最初の果樹の一つ”という見解もあり、紀元前5千年事には既に栽培されていたという説もありますよ。少なくとも紀元前1000年よりも古いエジプト新王国時代には既にエジプトで利用されており、紀元前のうちにはギリシアへも伝わっていたことが分かっています。同様にシルクロードを通り東側、インドや中国へもかなり古い時点で伝わっていたと考えられています。

古代ギリシアの医者であり医学の父・医聖とも呼ばれるヒポクラテスの医学書、パピルスに書かれたエジプトの医学書、中国の漢方書、インド最古の医学書(アーユルヴィーダ)など世界各国の古代医学書にザクロのことが記されているそう。こうした文献からザクロは古代から各国で薬効を持つ果物としても重宝されてきたと考えられています。当時は医学と呪術の区分がまだ明確ではなかったこともありますし、種子を多く持っているザクロは豊穣・繁栄・多産の象徴と考えられたこともあり、日本で言うところの“縁起物”としても各地で愛されてきました。祈祷や占いの道具としても用いられていたようですよ。

原産地と考えられるペルシアでは王笏の飾りとして、ギリシアでは王室の紋章の一部としてザクロが使われていたとも言われています。また『旧約聖書申命記』8章では“小麦、大麦、ぶどう、いちじく、ざくろが実る土地、オリーブの木と蜜のある土地”と主(神)から賜わった土地の豊かさを表す食材としてもザクロが使われていますし、雅歌では美しい女性を形容する例えとしても使われています。初期キリスト教でもエデンの園の象徴としてザクロが描かれ、中世には死後のキリストの復活と約束の象徴として使われるようになります。

各地で古くから親しまれていたザクロ。日本への伝来については平安時代(923年)頃と考えられており、鎌倉時代中期には一部の地域で栽培も行われていたようです。ザクロの伝来時期やルートについては諸説ありませんが、生薬としての薬効も伝えられていたために栽培された可能性もありそうですね。観賞用としての用途が主であったと言われていますが、果汁をお菓子の甘味付けに利用したり、鏡を磨くことなどにもザクロは利用されていました。江戸時代の銭湯の入り口を“石榴口”と言いますが、これも鏡を磨くことに使われる=鏡鋳る(かがみいる)=屈み入るという言葉遊びで命名されたと言われていますよ。

ザクロの栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ザクロは古くから「女性の果実」と呼ばれ、美容や健康に良いと扱われてきた食材。現在でも様々なポリフェノールを含むことが注目されていますが、ビタミンやミネラルなどの必須栄養素の含有量はさほど多くありません。ビタミンが豊富だという記述を見かけますが、100gあたりの含有量でみると多く含まれているビタミンCでも果物の中では下の上くらい(10mg)、ビタミンB1やB2に至っては0.01mgですからビタミン補給を意識して摂取するにはさほど向かないでしょう。

生100gあたりのカロリーは56kcalと果物(青果)類では中間くらい。適度にエネルギー源となる糖質を含むこと、クエン酸や酒石酸などの有機酸類が含まれていることから、エネルギー補給や疲労回復促進としても役立つと考えられています。
ザクロ果実イメージ

ザクロの効果効能、その根拠・理由とは?

抗酸化・生活習慣病病

ザクロが女性の美容と健康維持に役立つ食材として注目されたのは、後にご紹介する女性ホルモン(エストロゲン)を含む果物として紹介された件だけではなく、タンニン・アントシアニン類(デルフィニジンやシアニジンなど)・レスベラトロール・エラグ酸(プニカラジン)などのポリフェノールが豊富に含まれているということも関係しています。ポリフェノール類は抗酸化作用を持つことが報告されていますし、特にザクロ特有のポリフェノールとされるプニカラジンは非常に高い抗酸化特性を持つ可能性も示唆されています。

ザクロはこうしたポリフェノール類を多く含むことから活性酸素を除去・抑制することで、酸化による老化現象の予防=アンチエイジングやエイジングケアをサポートしてくれる食材として注目されています。また抗酸化物質は血中脂質や悪玉(LDL)コレステロールの酸化を抑制することで、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病予防にも効果が期待されています。

目の疲労軽減・健康維持

ザクロの特徴的な赤色には、色素成分であるアントシアニン類が含まれています。アントシアニンはブルーベリー黒豆などにも含まれている色素成分で、アイケアに関わる機能が期待されているポリフェノールの一つとしてサプリメントなどにも配合されていますね。アントシアニンに視機能保持や疲れ目対策などの働きが期待されているのは、目の網膜に存在するロドプシンの再合成を促す働きを持つことが報告されているためです。

私達は網膜にあるロドプシンが分解される際に生じる電気信号が脳に伝わることで、目に写ったものを認識することが出来ます。この時に分解されたロドプシンは再合成され、再び分解されることで脳に情報を伝えるというサイクルを繰り返していますが、この再合成の流れが滞ると目の疲れやかすみ・ぼやけるなど影響が出てきます。かつてロドプシンの再合成能力が低下するのは加齢によるものと言われていましたが、近年はテレビやパソコン・スマホなどを見続けることが多くなったことで年齢を問わず多くの方が抱える問題となっています。このためロドプシンの再合成を促すアントシアニンの摂取が疲れ目やかすみ目などの軽減・視力低下予防として注目されています。

ただし疲れ目や眼精疲労の原因はアントシアニン不足・ロドプシン再合成低下によるものだけではありませんので、軽減に繋がる可能性があるという程度であることは念頭に置いておいた方が良いでしょう。またアントシアニンは抗酸化作用を持つポリフェノールでもあるため、酸化ダメージによって発症する白内障・緑内障の予防に繋がる可能性があるという見解もあります。ザクロにはアントシアニン以外にも様々なポリフエノールが含まれていますし、日光やブルーライトなどによって活性酸素が発生することもありますから、抗酸化サポートを兼ねて目のために取り入れてみても良さそうですね。

風邪予防・貧血予防

ザクロは「ビタミンCを多く含むため風邪予防に役立つ」と紹介されることもあります。しかし『日本食品標準成分表』に記載されているビタミンC含有量は100gあたり10mgと、果物類全体の中で見れば中の下程度の量。同グラムで比較した場合には同じくらいのカロリーであるキウイフルーツは100gあたり69mgのビタミンCが含まれていますから、ザクロについて“ビタミンCが豊富”と表現するのは少々無理があるでしょう。ただしビタミンCは体内に貯蔵することが出来ないビタミンのため、大量に摂取するよりも小まめに少量ずつ補給することが推奨されています。間食やデザートとしてナチュラルにビタミンCを補給するという点では、役立つ可能性があります。

ちなみにビタミンCが風邪予防に役立つと言われるのは、抗酸化作用によって免疫機能低下を防ぐこと・白血球の機能促進や抗ウイルス作用を持つインターフェロンの生成を促進するなどの働きを示唆した実験報告があるため。近年は腸の善玉菌を活発化させることから免疫力向上効果が期待できるという見解もあります。ビタミンCの免疫亢進作用については現時点では可能性が示唆されている段階であり否定的な声もありますが、抗酸化作用によって免疫機能の働きを正常に保つことも期待できることや、伝統的に良いと言われていることから風邪予防として取り入れている方も少なくありません。ザクロは抗酸化作用を持つポリフェノールも多く含む果物ですから、風邪予防の一環やサポートとして取り入れてみても良いでしょう。

また貧血予防に良いという説もありますが、ザクロ生100gあたりの鉄分含有量は0.1mgと少ないですし、亜鉛や銅などのミネラルも他の果物よりも多く含まれているわけではありません。濃縮されたパウダーやジュースの場合は別ですが、フルーツとして摂取する場合には造血に関わるミネラルをしっかり補給できるものであるとは考えないほうが確実でしょう。貧血対策に役立つと言われるのはビタミンCの持つキレート作用によって鉄分の吸収をサポートしてくれるという部分が大きいと考えられます。貧血予防に取り入れる場合は鉄分を多く含む松の実などのナッツ類と組み合わせることをお勧めします。

むくみ・肥満予防

ザクロはミネラルを豊富に含むとは言い難い果物ですが、カリウムは100gあたり250mgと比較的多く含まれています。カリウムはナトリウムと競合して細胞内外の浸透圧を調整しているミネラルであり、電解質の一つでもあります。塩分の摂り過ぎなどで血中のナトリウム濃度が高まった場合は、余剰ナトリウムを排出させるのもカリウムの役目。カリウムが不足している場合には血中ナトリウム濃度を正常に保つっために水分が取り入れられますから、カリウムの補給は水分排泄を促すことにもなり、むくみ緩和にも繋がると考えられています。

加えてザクロに含まれているポリフェノールのうち、アントシアニンには内臓脂肪減少・インスリンの働きを正常化する善玉ホルモン「アディポネクチン」の分泌を活発化させる働きを持つ可能性があることが報告されています。マウスを使った実験ではレスベラトロールにも脂肪蓄積抑制効果が見られたこと、エラグ酸には血糖値上昇抑制作用が見られたことも報告されています。

こうした作用についてはまだ研究段階ですが、抗酸化作用によって基礎代謝や筋肉量の低下を予防する働きも期待できるということもあり、ザクロはダイエットやメタボリックシンドローム予防のサポートにも役立つのではないかと考えられています。生100gあたりのカロリーも56kcalとそこまで高くないので取り入れやすいですね。ちなみにザクロの食物繊維量については『日本食品標準成分表』では0gと表記されていますが、アメリカの『USDA栄養データベース』では4.0gとして記載されています。

美肌作り・美白

ザクロはお肌のアンチエイジングや美白など“美肌”効果を期待して取り入れる方も多いフルーツ。エラグ酸(プニカラジン)やアントシアニンは優れた抗酸化作用を持つと考えられている成分ですし、ザクロには様々な種類のポリフェノールやビタミンCが含まれていますから、相乗して働くことでより高い抗酸化作用を発揮することが期待されています。このため加齢だけではなく紫外線やストレスによって生じる活性酸素(フリーラジカル)を軽減し、シワやシミ・皮膚のたるみ・くすみなど肌の老化現象を予防することに繋がると考えられています。

加えてポリフェノールの中でもエラグ酸やレスベラトロールは美白効果を持つ成分としても注目されている成分。ここでの美白効果というのは紫外線に反応してメラノサイトを刺激することで、シミのもととなるメラニン色素の生成を促す「チロシナーゼ」という酵素の働きを抑制する働きです。ビタミンCにも同様にチロシンキナーゼ阻害作用が報告されていますし、コラーゲンの生成を促してくれるビタミンとしても取り入れられていますね。このためザクロは美白(シミ予防)に役立つアンチエイジングフルーツとしても取り入れられています。

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目的別、ザクロのおすすめ食べ合わせ

ザクロの選び方・食べ方・注意点

生のザクロを購入する場合は、手に持った時にずっしりと重さを感じるものを選ぶようにします。ザクロは完熟すると果皮が割れる事が知られていますが、店頭で販売されているものは基本的に果皮が割れていません。これは食用品種は熟しても割れないようになっている種が多いためだとか。このため完熟に近いサインである果皮の色が濃く鮮やかなものを選ぶと良いと言われています。果皮の色むらが激しい・一部が茶色っぽく変色しているもの、持った時にスカッと軽い感じのするものは避けたほうが無難です。

ザクロは外側にある果皮を割って、中に詰まっている赤色の小さな粒を食べます。皮を剥く時には頭のようになっている先端の尖った部分を落とし、切り口のあたりに数箇所切れ込みを入れて下さい。そのまま剥いてしまうと中の赤い粒(外種皮)が破裂したように飛び出す事があるため、水を入れたボウルなどに入れてから手で裂くようにして果皮を剥いでいきます。赤い外種皮の中に入っている白い種は食べることも出来ますが、気になる場合は取り出すか吐き出しながら食べて下さい。

昔キャラバンが水分と栄養補給に持ち歩いていたとも言われるように、ザクロは果皮(外皮)を剥かずに置いておけば日持ちのする果物です。個体差もありますが、丸ごとの状態で冷蔵庫に入れておく場合は数週間~1ヶ月以上持つと言われています。ただし外皮を剥いて外種皮(果粒の部分)を取り出した状態ではあまり日持ちがしないので、早めに食べきることがお勧めします。大量に収穫して食べきれない場合や、外皮がない状態ですぐに食べないようであれば、密閉容器に外種皮を入れて冷凍保存しましょう。冷凍の場合は2~3ヶ月程度保存できます。

女性ホルモン(エストロゲン)説について

一時期ザクロは女性ホルモンの一つである「エストロゲン」もしくはエストロゲンとして作用するフィトエストロゲンを含む果物であると紹介され、更年期障害改善や月経不順・バストアップ効果に役立つと話題になった時期があります。現在でも一部では「女性の果実」という紹介と共に女性領域での効果が謳われていますが、2000年(平成12年)には国民生活センターの調査によってザクロ果汁やザクロジュースからエストロゲンは検出されなかったということが報告されています。同調査ではザクロの果実のうち種子部分には植物性エストロゲンの「クメステロール」が微量含まれているものの、種子を原料とした商品においてもクメステロールは検出されなかったことも報告されています。

そのほか「エストロン」という女性ホルモン様作用を持つ成分が果肉や種子に微量含まれているという説もあります。エスロトンはほとんどが種子に含まれており、種子ごと食べことで女性ホルモン作用を有するとも言われていますが、エストロン含有量が微量であること・経口摂取した場合は肝臓で代謝されてしまうこと・生理活性が低いことが指摘されています。健康食品の販売サイトや美容コラムなどでは未だにザクロを「更年期障害や月経トラブルの改善」「バストアップ」に役立つという紹介も見かけますが、女性ホルモンに関する働きかけについては劇的な効果は期待しない方が無難でしょう。このため、

健大豆など一定以上のフィトエストロゲンが含まれていることが認められている食材であっても、女性の体への働きかけについては疑問視されているというのが実状です。ただし女性ホルモン様作用を持つ成分の摂取によって乳がんなどの発生リスクを高める(進行を早める)・月経不順を起こすなどの指摘もありますので、婦人科系の疾患がある方は念のため摂取を控えるか、医師に相談してから取り入れるようにしましょう。

ザクロの雑学色々

ザクロと鬼子母神

日本でザクロにまつわる伝説と言えば、鬼子母神にまつわる仏教説話が知られています。鬼子母神は沢山いる子供達を育てるため、人間の子供を攫って食べさせている鬼でした。子を奪われた母親達が悲しんでいるのを見たお釈迦様は、鬼子母神が可愛がっていた末の子を隠し、鬼子母神に子を失う悲しみを教えます。悔い改めた鬼子母神にお釈迦様は隠した子を返し「人間の代わりにこれを食べなさい」と果物を渡します。

この果物は“吉祥果”と呼ばれており、仏典が漢語に訳された時点で吉祥果がザクロとして描かれるようになったと言われています。時々「ザクロの実は人の味がするんだよ」と言うお年寄りがいるのも、人の代わりに食べる=人の味がするという俗説が出来てしまったためなのだとか。ザクロの実の花言葉は「愚かしさ」や「子孫の守護」。

ザクロの民間療法と危険性

ザクロは樹皮や根皮から花・種までと様々な部分が生薬として利用されてきた植物でもあります。乾燥させたザクロの樹皮や根皮は「石榴皮(ザクロヒ・セキリュウヒ)」もしくは「石榴根皮」という生薬名もありますが、ザクロの根・樹皮・皮などにはアルカロイドが含まれていることも認められており、体質や摂取量によっては中毒症状を起こすことがあります。またアレルギーを起こしやすい植物であるという指摘もありますから、お家などに生えているザクロの木から採取して利用することは避けましょう。効能や用途については民間療法として伝えられているものも含まれていますし、上記のような危険もありますから、自己判断で利用しないようにして下さい。

参考元:Pomegranate: Uses, Side Effects, Interactions, Dosage, and Warning鬼子母神様って?