バジルの栄養成分と働き
|使い勝手◎、抗酸化・ストレス対策にも嬉しい

食べ物辞典:バジル

柔らかく爽やかな風味でハーブ類が得意ではない方でも取り入れやすいバジル。名前の由来から「王の草」「ハーブの王様」と称されることもありますよ。イタリアンの印象が強いですが、タイ料理や中華料理にも使われますし、味噌や醤油とも相性が良い食材です。栄養面ではβ-カロテンを多く含むこと・人体に対して有益な働きが期待される芳香成分を含むことが特徵。抗酸化作用の高さや、生活習慣病予防のサポートにも注目されているバジルについて、歴史や期待される健康メリットなどを詳しくご紹介します。

バジル/バジリコのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:目箒(メボウキ)
英語:basil/sweet basil
学名:Ocimum basilicum

バジルのプロフイール

バジル(スイートバジル)とは

爽やかではあるものの、優しい風味で親しみやすいハーブとして日本でも人気のバジル。バジリコと呼ばれることもありますが、この呼び方はバジルのイタリア語の名称。イタリア名が定着しているようにイタリアンに欠かせない存在でもあり、乾燥ハーブを少しだけトマトソースやオリーブオイルに加えるだけでも風味がぐっと引き締まります。フレッシュバジルは若干の苦味がある程度で葉野菜・香味野菜としても食べられるので、トマト・モッツァレラチーズと組み合わせた“カプレーゼ”などのサラダも定番ですし、ピザのトッピングとして使われることもあります。ニンニク・オーブオイルとバジルで作ったペーストソース“ペスト・ジェノヴェーゼ”を使ったメニューもイタリアンの定番として親しまれていますね。

イタリアンの印象が強いバジルですが、厳密には近縁種ではあるもののガパオなどエスニック料理にも使われていますし、意外と和食とも相性が良いハーブ。植物としてはバジルはシソ科メボウキ属シソとは同属別種の関係ですが、数あるシソ科ハーブの中でも大葉に近い風味を持つとも称されていますよ。このためシソ(大葉)の代用としてバジルを使ったり、バジルの代用としてシソを使うこともあります。香草類の好き嫌いが激しい日本人に受け入れられやすかったのも、シソに通じる部分があったからかもしれませんね。日本の調味料とも相性が良く、バシル味噌・バジル醤油などを手作りする方もいらっしゃいます。シソ感覚で和食に組み合わせると不思議なほどマッチして、白米ご飯との違和感もないように感じます。

バジルを料理に活用しようと思ったら、欲しくなるのがフレッシュバジル。スーパーなどで買おうとすると手に入りにくい時期があったり、お値段が高めだったりと気軽に使うのはちょっと難しい場合もあります。しかし、バジルは育てやすい野菜・ハーブの一つとして、キッチンハーブの入門編としても人気の植物。お庭がなくてもプランターで栽培できること、種は100円ショップでも入手可能できるなどのお手軽さ・低コストさも嬉しいところです。また販売されているバジルでも葉枝を水につけると発根することから、ペットボトルで水耕栽培する方も増えています。育てたものから必要分ずつ葉をとって使えば最高にフレッシュで香りが良いのが嬉しいですね。買うのと比べると圧倒的にコスパも良いので、材料を買い揃えようとすると敷居の高いジェノベーゼソース作りも低予算で出来ます。

ちなみに日本で一般的に“バジル(バジリコ)”として販売・使用されているのは、シソ科メボウキ属の中でも和名メボウキ・英語ではスイートバジルと呼ばれるOcimum basilicumのこと。このスイートバジルの栽培品種から、別種の植物までを含めると“バジル”と呼ばれるものは150種類以上と多くの種類があります。タイバジルと呼ばれるものなど多くがスイートバジル系統品種もしくは交配種ではありますが、本格的なガパオライスを始めとしたタイ料理やインド伝統医学アーユルヴェーダで使用されているのは“ホーリーバジル(トゥルシー)”と呼ばれる同属別種。ホーリーバジルは優れた抗酸化特性を持つアーユルヴェーダハーブとして注目されていますが、スイートバジルもまた抗酸化作用やストレス対策などの働きが期待されていますよ。

バジルの歴史

バジルは古代から人間が使用してきたハーブの一つであり、原産地についても断定されていません。中央アフリカから東南アジアにかけての熱帯地域という説が主力ですが、更に東の中国周辺という説もあるのだとか。スイートバジルであるのかホーリバジルなのかは曖昧ですが、原産エリアとして有力視されているインドでは5000年以上も昔からバシルを利用していたと伝えられています。伝統医療であるアーユルヴェーダでも古い時代から生薬として活用されていましたし、中国でも薬用利用の歴史は古いとされています。また、ヒンドゥー教では葬儀の際に利用したり墓に植えることで故人が無事に黄泉の国に行ける、など儀礼や信仰においても重要視されていたそう。ちなみに現在でもホーリーバジル(トゥルシー)は捧げる神聖なハーブ・女神ラクシュミーの化身として大切にされています。

原産地から西へも早い時点でバジルが伝わっていたことは間違いありません。古代ギリシャのアレキサンダー大王がインド遠征を行った際にヨーロッパへと持ち帰ったという伝説もあるようですが、アレキサンダー大王以前の古代エジプトからもバジルは発見されています。起源前2000年位の段階から古代エジプトではバジルを栽培していたという説もありますし、多くのユーラシア大陸産ハーブと同じ様に防腐剤の一つとしてミイラ作りにも使われたのではないかと考えられています。古代ギリシアでもバジルは喪を象徴する植物として扱われていたそうですし、王や貴族が付ける香水や膏薬として重宝されたため“王家の薬草(Basilikon phuton)”と呼ばれていたんだとか。

ところでバジル(basil)もしくはバジリコ(basilico)という呼称や、種小名として使われている“basilicum”は同じ語源を持っていると考えられています。名前の由来についても諸説ありますが、古代ギリシア語で「王」や高貴・高潔を意味するバジレウス(βασιλεύς)という言葉に由来するという説が一般的です。属名の“Ocimum”は古代ギリシア語で「香りがするもの」という意味なので、王家御用達の香水に使われていたという説にも説得力がありますね。そのほかヘビの王とされる伝説の怪物バシリスクの毒に対する解毒剤として役立つと考えられていた事が由来という説もありますが、バジリスクという呼び名も元を辿ればバジレウス(βασιλεύς)に行き着くのだとか。

「The Royal Herb(ハーブの王)」「l’herbe royale(王の草)」とも称されるバジル。その一方でヨーロッパには古代ギリシャの憎しみを表す・サタンの象徴であるという伝承も。古代ギリシア・ローマでは罵りながらバジルの種子を蒔くとよく育つ・鍋の下にバジルの葉が残っているとサソリに変身してしまうなんて言い伝えもあったようですよ。純情ではない女性が触れると枯れる、など恋愛に関わる迷信も多く、中世でバジルは惚れ薬の原料としても利用されていたと伝えられています。中世にはバジルを有用なバーブと見做す医者と、有毒であると考える医者にパッキリ分かれていた時期もあるのだそう。貧困層の人々によって万能薬のような形で使われたことから“herb of poverty(貧者のハーブ)”と呼ばれていた歴史もあるので、全ての人が敬遠していたわけでは無いのでしょうけれど。

ギリシア~イタリアを中心としてヨーロッパ中へと広まっていったバジルは、16世紀頃イギリスに、17世紀にはアメリカへと伝えられています。日本にも16世紀頃に伝わっており、江戸時代には薬として使用されていました。咳止めや下痢止めなどに利用されていたようですが、内服よりも外用薬としての利用が主。水に浸すとゼリー化するバジルの種子の性質を生かし、目の洗浄に活用していたことから“メボウキ(目箒)”と和名が付けられています。ちなみに現在は目の洗浄はもちろんのこと、薬用としてもバジルや種子が利用されることはほとんどありません。しかし食物繊維が豊富でローカロリー存在として「バジルシード」が注目され、ダイエットや便秘改善サポートに活用されていますね。

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バジルの栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

生バジル100gあたりのカロリーは24kcalで、アスパラガスやホウレンソウなどと同じくらい。β-カロテンを非常に多く含むほか、ビタミンB群・ビタミンC・ビタミンEなどのビタミン類、カルシウムなどのミネラル、食物繊維を豊富に含んでいます。またハーブ・香料としても利用されているように有益な働きを持つとされる芳香成分を多く含んでいますから、栄養面以外での効果も期待できるでしょう。

フレッシュバジルイメージ

バジルの効果効能、その根拠・理由とは?

免疫力向上・風邪予防に

バジルは生100gあたり6300μgとホウレンソウ春菊よりも多くのβ-カロテンを含んでいます。同じく香味野菜として使われるハーブ類としてはパセリのほうがβ-カロテン量は上ですが、食べやすいという点ではバジルが勝りますよね。ほうれんそうや人参のように数十~数百グラム食べることは稀ですが、それでも十分にβ-カロテンの補給源として役立ってくれるでしょう。

β-カロテンはカロテノイドと呼ばれる天然色素成分の一種で、必要に応じて体内でビタミンAに変換されるプロビタミンA(ビタミンA前駆物質)の一つでもあります。ビタミンAは皮膚・喉・気管支・肺などの上皮組織を正常に保つ働きがあり、不足すると細菌やウイルスの侵入を許しやすい状態を作ってしまう可能性があります。このためβ-カロテンを不足なく補うことは体本来の抵抗力を高め、雑菌やウィルスの侵入を防ぐ事に繋がるでしょう。加えてバジルには殺菌作用・抗酸化作用が報告されているタンニンや、リナロールなどの芳香成分類も含まれています。2003年の『Journal of Microbiology Methods』では抗生物質耐性を発現している細菌株への有効性が報告されていますし、同様の報告がいくつもあり抗生物質の代替品として応用できる可能性も示唆されていますよ。

またβ-カロテンも抗酸化作用を持っていますし、生のバジルであれば抗酸化ビタミンであるビタミンCやビタミンEも含まれています。これら抗酸化物質が相乗して体内で過剰に発生している活性酸素を抑制し、免疫力低下を防ぐ・低下した免疫機能を回復させる働きが期待できます。これらの働きが複合することで風邪・インフルエンザ予防を手助けしてくれる可能性もあるでしょう。風味を追加するだけではなく、栄養素も追加補給できる便利な食材と言えるかもしれませんね。

精神安定・ストレス対策にも

バジルには気持ちを落ち着ける働きが期待されている、リナロールやメチルカビコール(エストラゴール)などの芳香成分が含まれています。こうした芳香成分が複合して働くことで鎮静・抗鬱・抗ストレス・神経強壮などの働きを持ち、心のバランスを整えるサポートをしてくれるのではないかと考えられています。動物実験ではスイートバジル精油を使用したマウスのグループにCUMS誘発性の抑うつ状態の改善が見られたという報告が2017年『Experimental and Molecular Pathology』に掲載されています。人を対象とした試験でも2012年には“精神的疲労”の減少が見られたことが報告されています。有効性を断定するには根拠不十分とされていますが、香りによってストレスを軽減させてくれる可能性はあるでしょう。不眠に対する民間療法としてバジルティーの飲用・バジルの葉を入浴剤として利用するという方法があるのも、ストレス軽減やリラックスに繋がるためだと考えられます。

栄養面でもバジルはカルシウムは100gあたり240mgと牛乳の2倍以上含んでおり、カルシウムとバランスを取り合うマグネシウムも比較的豊富。カルシウムとマグネシウムや神経や筋肉の緊張・弛緩に関わるミネラルですから、不足を予防することで精神安定に繋がるという説もあります。ちなみにバジルの芳香成分であるメチルカビコールはに強力な鎮静・抗鬱・抗ストレス作用があるとされていますが、精油を使って吸引すると刺激が強く副作用を起こすことや、毒性があることが指摘されています。そのためバジルを食べる・お茶として飲むなどの形でごく微量摂り入れる方法が良いようです。大量に食べる必要はありませんので“適量”を心がけましょう。

抗酸化サポート・生活習慣病予防に

バジルはβ-カロテンを筆頭に、ビタミンC・ビタミンE・タンニン・精油成分など抗酸化作用を持つ成分を多く含む食材としても注目されています。抗酸化物質は体内の活性酸素の除去・抑制効果のある物質を指し、補給することで体内で増えすぎた活性酸素による酸化ダメージを抑制する手助けをしてくれると考えられています。細胞の酸化は老化を促進する原因ともなりますから、かつて抗酸化力の指標として利用されていたORAC値(活性酸素吸収能力)でもトップ15に入ったほど抗酸化物質の豊富なバジルはアンチエイジングハーブの一つにも数えられる存在と言えますね。

また活性酸素の増加は病気のリスクを高めるという指摘もあります。代表的なものが酸化した血中脂質が血管内に蓄積することで発症リスクが高まる動脈硬化。抗酸化物質の補給は血中脂質の酸化抑制に繋がるため、動脈硬化予防を手助けしてくれる可能性もあるでしょう。そのほか伝統医療の中でもバジルは高血圧を含む心血管疾患に利用されており、ラットを使った研究でも降圧作用が見られたことが報告されています。コレステロールや中性脂肪の低減作用を持つ可能性を示唆した実験報告もありますし、2017年には『Journal of Intercultural Ethnopharmacology』に炭水化物代謝酵素を阻害して抗糖尿病作用を示したという動物実験の結果も掲載されています。抗酸化作用と合わせて、生活習慣病予防のサポートに取り入れてみても良いかもしれません。

目の健康維持にも

バジルに豊富に含まれているβ-カロテンから合成されるビタミンAは、網膜で光を感知するロドプシンの生成にも利用されています。不足なく補うことで目の疲れの緩和・視界をクリアにするなどの働きが期待できますし、ビタミンAは目や呼吸器などの粘膜を正常に保持する働きもあるためドライアイ予防にも意識的に摂取したい栄養素と言えます。バジルはβ-カロテンだけではなく、ルティンやゼアキサンチンなどのカロテノイドも含んでいます。この二つは目の内部に発生する活性酸素を除去する働きによって目の黄斑部や水晶体などを酸化ダメージから守り、(白内症や黄斑変性症など眼病や視機能の老化を抑制する働きが期待されています。

加えてルテインは「天然のサングラス」とも称されるように、スマホやパソコンの画面などから発生するブルーライト(青色光)を吸収して目を守る働きも報告されており、パソコン・スマホ・テレビなどに囲まれて生活している現代人の目を守ってくれる存在としても注目されています。数グラム程度のバジルを摂取したくらいであれば有効性が報告されているようなルテイン摂取量には届きませんが、目の疲れが気になる方・スマホやパソコンを使用している時間が長い方をサポートしてくれる食材ではありますね。

胃腸機能サポート・強壮に

生100gあたり6300μgとバジルに多く含まれているβ-カロテンは、ビタミンAに変換されることで消化管の粘膜の保護や強化にも関与します。このためバジルなどβ-カロテン・ビタミンAを含む食材の摂取は、ストレスや暴飲暴食でダメージを受けている胃腸の状態を整える手助けをしてくれると考えられています。加えてバジルに含まれている芳香成分(精油成分)類にも健胃・消化促進作用があるとされ、食欲を高めたり消化を促すことで胃もたれを防いでくれる働きも期待されています。香辛料として使われている理由の一つとも言えそうですね。消化器官を整えることから吐き気予防や腹部膨満感(お腹のガスによるハリ感)緩和などに、精神面でのリラックス効果からストレス性の胃痛や腹痛などの緩和に繋がる可能性もあるでしょう。

便秘予防・改善に

バジルは生100gあたり4.0gと食物繊維を豊富に含んでいます。通常ハーブや香味野菜の場合はさほど量を摂取しないため100gあたりの含有量が多くても補給源としてはさほど役立ちませんが、フレッシュバジルは生野菜感覚でサラダ・スムージーなどに利用できるのも強み。レタストマトの食物繊維量は100gあたり1.1gですから、バジル数十グラム程度の摂取でも食物繊維の不足分をカバーするには役立つと考えられます。ちなみに食物繊維の比率としては不溶性食物繊維が多いですが、100gあたりの水溶性食物繊維も0.9gと野菜類としては多く含まれていますよ。

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冷え・むくみ予防にも

バジル(生)100gあたりのカリウム含有量は420mg、マグネシウムも69mgと多く含まれています。カリウムもマグネシウムも体内の水分バランスに関わるミネラルで、ナトリウム濃度を調整して余分な水分の排出を促す働きがあります。またマグネシウムは補酵素として働くことで血液やリンパ液の循環を正常に保つ働きがありますし、生のバジルには末梢血管の血流を改善するビタミンEも100gあたり3.5mgと豊富に含まれています。こうした栄養素の補給からバジルは水分排出・体液循環を正常に保ち、むくみの予防や軽減のサポートが期待できます。

マグネシウムやビタミンE以外に抗酸化成分による血液サラサラ効果も期待できますから、血行不良の改善にもバジルは役立つと考えられます。加えてバジル100gには貧血予防に役立つ鉄分が1.5mgが含まれており、多くはないもののビタミンB群も含まれています。実際に100g食べるわけではないので必要分を全て補給できるとは言い難いですが、貧血予防や冷え性予防の手助けをしてくれる可能性は十分にありますね。

アンチエイジング・美肌維持に

バジルにはβ-カロテンほか抗酸化物質が豊富に含まれています。β-カロテンは体内でビタミンAへと変換されるため、抗酸化において相乗効果が期待されるビタミンACEをまとめて摂取できる存在でもあります。抗酸化物質の働きで肌のシワやシミ・たるみなど酸化によるダメージ(老化)を予防し、若々しい肌を保つサポートをしてくれるエイジングケア食材としても期待されています。

またβ-カロテンはビタミンAに変換されることで皮膚粘膜の形成・保持を助ける働きもありますから、お肌の角質化・乾燥・肌荒れ予防にも役立ちます。そのほかバジルにはコラーゲン生成促進に役立つビタミンC、皮膚・髪・爪の再生を助けてくれるビタミンB2、血行促進によって肌の新陳代謝(ターンオーバー)を高めるビタミンEなども含まれています。抗酸化作用と合わせてニキビ・肌荒れ・乾燥・くすみを防ぎ、肌の透明感や潤いを維持してくれるでしょう。

目的別、バジルのおすすめ食べ合わせ

バジルの選び方・食べ方・注意点

バジルは金気を嫌うと言われる通り、金属製の包丁やハサミで切るとタンニンと反応して黒ずんでくることがあるので収穫や調理は手でちぎるようにしたほうが良いでしょう。フレッシュバジルを使う時はしっかりと加熱してしまうと香りが飛んでしまい、見た目も黒ずんで茶色っぽくなってしまうため、最後に飾るように使うことをオススメします。

β-カロテンは脂溶性ビタミンなので、油もしくは脂質の豊富な食材と合わせて摂取すると吸収率がアップします。イタリアンならばチーズやオリーブオイルが定番ですし、和食に組み合わせる場合はオイルの入ったドレッシング類・ごま油などがよく合います。肉とも魚とも相性が良いですしね。

バジルの生葉は萎れやすいためなるべく早く使いきりましょう。使い切れない場合はジェノベーゼソースのように加工するか、風通しの良い日陰で1日程度陰干しした後冷凍します。もしくは切り花のように水につけて根を出させ、栽培して必要分だけ採取していくのもオススメです。

女性ホルモンについてと注意点

バジルの香りには女性ホルモンのエストロゲンとして作用するアネトール、エストロゲン分泌を助けることでホルモンバランスを調整する働きがあるとされるゲラニオールという芳香成分が含まれています。これらの働きによって女性ホルモンのバランスを穏やかに整えることで、生理痛・月経不順・月経前症候群(PMS)・更年期障害など女性ホルモンの乱れから起こる女性特有の不調緩和に役立つという説もあります。

ただし芳香成分による女性ホルモン作用については「見られない」という見解もありますし、食品として摂取する程度の量でどの程度作用があるのかも不明です。過度な期待は避けましょう。またホルモン様作用の問題だけではなく、メチルチャビコール(エストラゴール)には若干の毒性が指摘されていることと合わせて、妊娠中や授乳中の方、小さいお子さんは大量に食べない方が無難。食事の中でスイートバジルを通常量摂取するくらいならば問題ないとされていますが、ハーブティーを大量に飲んだり精油を使ったりするのは控えましょう。

バジルは虫よけになる?

バジルの葉に含まれる芳香成分(シネオール)は蚊が嫌う性質があり、部屋に植えたりポプリにすることで天然お蚊よけ剤として利用できると言われています。ただしバジルをそのまま使うとアブラムシやコバエ・シバンムシなど別の虫が寄ってくる可能性が高いので、アロマオイル(精油)などを活用する方が安全です。ベランダなどでバジルを栽培していても、コバエ(のような小さな虫)が結構寄ってくるので注意が必要。

【参考元】