タイガーナッツとは
NYで人気のスーパーフードとして日本でも紹介される機会が増えてきたタイガーナッツ。アサイー、チアシードに次ぐブームになるのではと言われるほど注目度の高い食材。日本では聞いたことがない・見たことがないという方がほとんどの全く馴染みのない食材ですが、タイガーナッツの健康効果・ダイエット効果が報じられ取り入れる方が増えています。
ナッツのような茶色のゴツゴツとした小さな球形をしており、Tigernuts(タイガーナッツ)以外にもEarth almond(アースアーモンド)などとも呼ばれていますが、その状態はカヤツリグサ科のショクヨウガヤツリ(学名:Cyperus esculentus)という植物の塊茎。塊茎というのは地下茎にできる塊のことで、ジャガイモや生姜などもこの塊茎野菜に分類されます。そのためタイガーナッツ(種子)と呼ばれていますが、実は野菜に分類されます。
タイガーナッツは栄養価の高さはもちろんのこと、グルテンフリーのためアレルギー食・ダイエット食としても需要が高まっているそう。日本ではまたメジャーではありませんが、小麦粉のように使えるタイガーナッツパウダー、乳糖不耐症の方でも飲めるタイガーナッツミルク(オルチャータ)などのアレルギー代替色からタイガーナッツオイルまで様々な商品が販売されています。
タイガーナッツの歴史
タイガーナッツはヨーロッパから北アフリカが原産です。人との関わりが非常に古い植物で、オックフォード大学による研究調査では240~140万年前(旧石器時代頃)に東アフリカの地域に住んでいた我々の先祖が主食としてタイガーナッツを食べていたことが確認されています。また古くとも紀元前2000~1000年頃には栽培が行われていたと考えられており、タイガーナッツは人類最古の栽培作物の1つとも言われています。
古代エジプトではデザートや飲料の甘味付けに用いられたほか、医薬品のような形で内服・外用(軟膏など)としても用いられていたのではないかと考えられています。古代エジプト人の墓からは財産と一緒に埋葬されていた塊茎が発掘されていたころからも、タイガーナッツは貴重な栄養源や薬用植物として重宝されていたことがうかがえます。
古代エジプト以外にも古代ギリシア、ペルシャ、アラブ文明など多くの古代文明でタイガーナッツは食されていたと考えられます。紀元前4世紀頃に活躍した、植物学の祖と呼ばれるテオフラストスが記した『植物誌』にもタイガーナッツの記載があるそうです。またインド伝統医学のアーユルヴェーダでは鼓腸、下痢、消化不良、赤痢、衰弱などの治療に利用されていたようです。
スペインやアフリカ・中東の一部地域で伝統的に食用とされていたものの、あまり注目を浴びることがなかったタイガーナッツ。近年スーパーフードとして栄養価の高さが取り上げられたこと、アレルギー代替食としても注目されたことに加え、ハリウッドスターやセレブが実践しアメリカで流行中の「パレオ・ダイエット(原始人ダイエット)」にもピッタリの食材であることも人気急上昇の一因なのだとか。
タイガーナッツはこんな方にオススメ
- グルテン摂取を控えたい方
- 動物性食品を控えたい方
- ダイエット中の方
- 血糖値が気になる
- お砂糖を控えたい
- 便秘・むくみがある
- 食生活の偏りが気になる
- 肌荒れ・肌老化の予防に
タイガーナッツの主な栄養・期待される効果
タイガーナッツに含まれる三大栄養素の比率としては脂質約50%、炭水化物約40%、タンパク質約6%ですが、脂質の7割がオレイン酸と言われており、炭水化物に関しても難消化性でんぷんの比率が高く太りにくいと言われています。
※記載の数字は主にTigernuts.com様、Diet.es様のものを利用させていただだいています。
便秘改善・むくみの改善
タイガーナッツは100gあたり33gの食物繊維を含んでいます。この量は同グラムで比較した場合、アーモンドの約3倍、クルミの約4.5倍になりますから、圧倒的に食物繊維量が多いと言われるのも納得ですね(※皮無しの場合は22g/100g)。加えて脂肪分の約70%はオレイン酸のため、食物繊維と相乗して腸の蠕動運動を促してくれますし、潤滑油として便の腸内~排泄までの移動をスムーズにする働きも期待出来ます。
ただしタイガーナッツの食物繊維は不溶性食物繊維が多いため食べすぎや水分不足の場合は逆に便秘を悪化させてしまう可能性もあります。小まめに水分を摂ること・大量に食べ過ぎないことを心がける必要はありますが、食物繊維の補給源としては非常に優れています。
またタイガーナッツは血圧の安定や、体内の水分バランスに関わるカリウムを100g中710mgと豊富に含有しています。100gあたりの含有量で見るとよく比較されるアーモンド(770mg)にやや劣りますが、カロリーが100gにつき約100kcalアーモンドよりも低くなっていますので、大差ないレベルとも言えます。ダイエット中のむくみ対策であれば、カロリーも調整しやすいので使いやすいでしょう。
ダイエットサポート
タイガーナッツに含まれる食物繊維は不溶性食物繊維が多いため、水分を吸って膨れることで満腹感維持に役立ちますし、食物繊維と似た働きを持つ難消化性でんぷんも含まれていますので、満腹感の維持・血糖値の上昇抑制などの働きが期待出来ます。また脂質の大半を占めるオレイン酸はオリーブオイルなどでお馴染みの「太りにくい油」として、インスリンの働きを良くして脂肪の蓄積を抑える働きが注目されています。代謝に関わるビタミンB6も比較的多く含まれていますので、ダイエット中のおやつや、トッピングとして利用すると良いでしょう。
食べ過ぎ防止・代謝低下予防・脂肪蓄積を抑える・老廃物排泄促進など、タイガーナッツはダイエットのサポートに心強い存在と言えます。ただしカロリーも100gあたり497kcal。ナッツ類と比較すれば低めですが、決して低カロリーというわけではありませんので要注意です。
ミネラル補給
タイガーナッツにはカルシウム、マグネシウム、鉄分などのミネラルが比較的多く含まれています。豆・種実(ナッツ)類などと比較した場合はすば抜けて何かの含有量が高いということはありませんが、バランスよく普段不足しがちなミネラルを補える食材と言えるでしょう。ダイエット中に食べることでミネラル不足の予防にも役立ちます。タイガーナッツに含まれるミネラルの中では鉄分・葉酸の含有量が比較的多いため、特に貧血気味の方や妊娠中・授乳中の方には適していると考えられています。
老化予防・美肌作り
タイガーナッツは抗酸化作用を持つビタミンEを含んでいます。ビタミンEは抗酸化作用によって酸化ダメージを防ぐほか、末梢血管拡張作用によって血行を促し肌の新陳代謝を高める働きが期待出来ます。またオリーブオイルと並ぶと言われるほど豊富に含まれているオレイン酸は「美肌を作る特効薬」とも呼ばれる脂肪酸。こちらも血液サラサラ効果が期待されていますから、ビタミンEと共に血行を良くして肌のキメや透明感を高める働きが期待できます。またオレイン酸は人間の皮膚にも含まれているため、適切に補うことで皮膚を柔らかく、艶やかに保つという説もあります。
そのほかにタイガーナッツはタンパク質の分解や再合成に関わり、皮膚の新陳代謝を補助してくれるビタミンB6が多く含まれています。ビタミンB6は皮膚の健康維持のほかにアレルギーの症状を緩和する効果も認められていますから、アレルギー症状や肌荒れの緩和などにも効果が期待できるでしょう。
タイガーナッツの選び方・食べ方・注意点
タイガーナッツは目安とされる日本食品標準成分表には表記がなく、メーカー独自の成分分析や海外サイトの情報などによってかなり栄養成分の含有量に差があります。インターネット・書籍・パッケージに記載されている内容の信憑性は微妙なラインと考えたほうが良いかもしれません。
日本の美容・健康サイトや販売者のホームページなどでは「タイガーナッツはアーモンド(31mg/100g)の2.5倍=100gあたり80mgのビタミンEを含有」ということが常識のように書かれていますが、海外サイトではタイガーナッツ100gあたりのビタミンE含有量は10mgとなっているものもあり、大きく差が生じています。
また「ビタミンB群がたっぷり」という表記も見かけますが、上記サイトでは100gあたりの含有量はビタミンB1(チアミン)は0.1mg、ビタミンB2(リボフラビン) は0.1mg、ビタミンB3(ナイアシン)は1.8mg、ビタミンB-12は0ですから豊富とは言い難いでしょう。タイガーナッツに含まれているビタミンB群で、比較的多く含まれていると言えるのはビタミンB6(0.33mg)と葉酸(141μg)と思われます。
タイガーナッツ活用方法・民間療法
タイガーナッツミルクを製品として販売されているメーカーさんもありますが、一晩水に浸したものをミキサーで攪拌して絞って漉すことで自作することも出来ます。自作するメリットとしては、飲みたい時に飲みたい分だけ作れる(賞味期限等の心配が少ない)ことや、まだ栄養価が残っている搾りかすをお菓子作りなどに活用できること。
日本ではタイガーナッツミルク(オルチャータ)は気軽にスーパーなどで買えるものでもないですので、いきなりネットで大量買いをする前に味見として作ってみるのもオススメです。搾りかすを活用する場合や、アレルギーなどで小麦粉代わりに粉末状のものを使う場合、もともとの甘みがありますのでお砂糖の量に注意するようにしてください。