ミカン(温州みかん)の栄養成分や効果効能
|健康・美容両方に嬉しい! 皮やスジにも…

食べ物辞典:ミカン

日本では最もポピュラーな柑橘類とも称されるのが温州みかん。単に「みかん」と言った場合は温州みかんのことを指していると言っても過言ではないでしょう。手に簡単に剥けるので食べやすく、子どもからお年寄りまで日本人に広く親しまれている定番の果物です。栄養面ではβ-クリプトキサンチンなどのカロテノイド類、ビタミンCとビタミンP(ヘスペリジン)を豊富に含むことが特徴。抗酸化作用による健康サポートから肥満予防・美白まで様々なメリットが期待されています。そんなミカンの歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

みかんのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:温州蜜柑(うんしゅうみかん)
英語:mikan/Satsuma mandarin orange

ミカン(温州みかん)のプロフイール

温州みかん(冬ミカン)とは

日本を代表的する果物の一つとも称される温州みかん。好きな果物ランキングでもベスト5に入るくらい、日本では定番での存在。ジューシーで柑橘類の中では酸味が少ないことに加え、価格が比較的安いこと・手で剥ける手軽さなども支持されている理由と言えるかもしれません。

ミカンはそのまま剥いて“ミカンそのもの”として食べられることが多い果物。加工としてもシロップ付けやコンポートにする・ジュースにするなどみかんの味を立てたものが多いですが、ソースにして肉や魚料理にかけるなどメインの料理にも活用されています。またミカン産地でありポンジュースでも有名な愛媛県では、みかんジュースをダシの代わりに入れて炊く「みかんご飯」が食べられていることが紹介されて話題となりましたね。そのほか風邪気味の時にはみかん・焼きみかんを食べるなどの民間療法も各地にあり、冬の果物・ビタミン補給源として重宝されてきたことがうかがえますね。

みかんご飯は極端な例ですが、冷凍みかん・焼きみかんなど地域によってポピュラーだと思っている食べ方や皮の剥き方などに違いがあるとも言われています。余談ですが漢方に使われる生薬“陳皮”は本来マンダリンオレンジの果皮を干したものを指しますが、日本薬局方では温州みかんの果皮も用いられています。この温州みかんの皮は七味唐辛子の材料にも使われていますし、健康茶のようにして飲んだり、入浴剤のようにして使ったりと様々に利用されていますよ。

植物分類ではミカン科ミカン属に分類され、学名は和名が種小名としてそのまま使われCitrus unshiu。温州みかんは大きく極早生・早生・中生・普通・晩生の5つに分類され、品種数は100を軽く超えます。ちなみに和歌山県の“有田みかん”や“愛媛みかん”など産地の名前を付けて呼ばれるものもありますが、これらもほとんどが温州みかんです。例外と言えるは紀州みかん(Citrus kinokuni)もしくは交配種くらいでしょう。温州みかんは極早生温州みかんであれば9月から10月頃に収穫され、晩生温州みかんは3月頃まで流通しています。とは言え最も流通が多いのは12~1月頃となっていますから、別名“冬みかん”とも呼ばれている通り冬の果物の代表格と言えます。こたつでみかん、というのも冬の定番ですね。

温州みかんの歴史

ミカンやオレンジなど柑橘類の原種は、3000万年前にインド東部のヒマラヤ山脈からアッサム地方に自生していた“野生の柑橘植物”とされています。原種は同じものですが、インドから中国や日本など東アジアへと伝えられたものがミカン類欧米に伝わったものがオレンジと分化し、さらに品種が確立されていったと考えられています。中国では今から4000年以上前に野生ミカンが伝えられて珍重したという記録も残っているそうですから、伝播はかなり古い時代に行われていたと言えるでしょう。

日本には古くから固有種の柑橘類である“橘(ヤマトタチバナ)”が自生していたことが分かっていますが、2~3世紀の日本の様子が書かれた『魏志倭人伝』には食用としては利用されていないということが書かれているそうです。文献としては『古事記』や『日本書紀』に田道間守が中国から「橘」を持ち帰ったという行がありますが、ここでの「橘」が現在の橘であるのか橙なのかミカンなのかはハッキリ分かっていないそう。日本でみかんの栽培が本格的に行われるようになった時期は室町時代とされていますが、これは中国浙江省から伝わったもので現在の“紀州みかん(小ミカン)”に近いものだったと推測されています。

では現在私達が食べている温州みかんはというと、約400年前に鹿児島県あたりで突然変異によって誕生したことが分かっています。温州みかんというのは中国の名産地にあやかって後に命名されたもので、当初は“長島蜜柑”や“唐蜜柑”などと呼ばれていたそうです。ちなみに現在でも英語で温州みかんはWenzhou orangeやCitrus unshiuのほか、satsuma mandarinとも呼ばれています。

温州みかんは江戸時代初期には「種がない」ことが縁起が悪いと避けられ、九州の一部地域でしか栽培されていませんでした。ちなみに江戸時代に紀伊國屋文左衛門が紀州からミカンを江戸に運び大儲けしたという伝承もありますが、これも紀州みかんだったようです。しかし明治に入り縁起を好む武士達の時代ではなくなると、温州みかんは甘く味が良く食べやすいと評価されるようになります。紀州みかんに取って代わるように温暖な地方を中心に栽培が広がり、鉄道などにより輸送体勢が整ったことあり国民的な果物として親しまれるようになりました。

ミカン(温州みかん)の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

『日本食品標準成分表』では温州みかんについていくつかの記載がありますが、下記では“じょうのう/普通温州/生”の数値を元に紹介させていただきます。ちなみに「じょうのう」というのは半月形をしたミカンの房の小袋(薄皮部分)を、「砂じょう」はツブツブしたオレンジ色の果肉部分のみを指します。温州みかんであればじょうのうごと食べる機会が多く、オレンジなどは剥いて砂じょうのみを食べる機会が多いでしょう。
100gあたりのカロリーは46kcal。

みかんイメージ

ミカンの効果効能、その根拠・理由とは?

疲労回復・エネルギー補給に

温州みかんはビタミンCやクエン酸を含むことから疲労回復に役立つ果物とされています。ただしクエン酸は代謝を行うTCAサイクル(クエン酸回路)の構成物質ではありますが、クエン酸がTCAサイクルを活発化させる・疲労回復を促すという説については、データ不足や効果が見られなかったとする実験報告が多いことから現在は否定的な見解のほうが多くなっています。

クエン酸の有効性についての疑問はありますが、温州みかんにはブドウ糖などの糖質も含まれていますからエネルギー源としてや疲労回復促進をサポートしてくれる可能性はあるでしょう。温州みかんのビタミンC含有量は100gあたり32mgと際立って多いわけではありませんが、小袋(じょうのう)や筋(維管束)にはヘスペリジンが多く含まれています。ヘスペリジンはビタミンCを安定化させて吸収を高める・持続時間を伸ばすなどの働きがあることから“ビタミンP”とも呼ばれているポリフェノール。

ビタミンCは抗酸化作用を持つこと・エネルギーを作り出すカルニチンの合成に関わることなどから疲労回復をサポートしてくれると考えられています。ミカンは特に加工せずにそのまま食べることが多い果物でもありますから、ナチュラルなビタミンC+ヘスペリジン補給源として役立ってくれるでしょう。ビタミンC含有量はオレンジの方が高いですが、小袋やスジ部分も丸ごと食べられることから温州みかんの方がバランスよくビタミンCとビタミンPを補給できるという説もあります。

ストレス対策に

ビタミンCは副腎皮質ホルモンや神経伝達物質の合成にも関係するビタミンでもあります。特に副腎皮質ホルモンはストレス下で分泌されることが多いため別名「抗ストレスホルモン」とも呼ばれており、ストレスなどにより分泌量が増えるとビタミンCの消費も激しくなります。原料が足りない場合はストレスに対しての反応が取れにくくなるため、ビタミンCは“ストレスと戦うビタミン”とも称されています。温州みかんにはオレンジ同様にリラックスやリフレッシュ効果が報告されているリモネンなどの精油成分も含まれていますから、相乗してストレスを緩和・ストレス耐性を高める働きが期待できます。

血行不良・冷え性軽減に

温州みかんに期待されている働きの中には血行促進・血液サラサラ効果や冷えの改善なども挙げらていますが、これはヘスペリジンの働きが大きいと考えられます。ヘスペリジンはビタミンPの一つとしてビタミンCの働きを助け抗酸化やコラーゲン生成をサポートする以外に、毛細血管を広げて血液を隅々まで行き渡らせる働きもあると考えられています。人に吸収されやすい酵素処理ヘスペリジンを使った江崎グリコ株式会社の実験では皮膚表面温度回復・冷え緩和の可能性があることも報告されています。

そのほか温州みかんにはβ-カロテンや同じくカロテノイドに分類されているβ-クリプトキサンチン、ビタミンCなどの抗酸化物質も含まれています。これら成分は直接的に血流を促すものではありませんが、過酸化脂質の生成を抑制し血管・血液の状態を保つことでスムーズな血液循環をサポートしてくれます。これら成分の働きで温州みかんは血行不良や冷え性の方にも適した果物とされています。ただし東洋医学的な食品の分類はミカンは体を冷やす食品(陰性食品)に分類されており、食べ過ぎると体を冷やす可能性もあるとされています。

免疫力向上・アレルギー軽減にも期待

ビタミンCは抗ウイルス作用を持つインターフェロンの分泌促進作用や白血球の強化・自らが病原菌を攻撃する働きを持つなど、免疫力の保持・強化に関する報告が多くなされているビタミンでもあります。加えて温州みかんにはβ-カロテンやβ-クリプトキサンチンも含まれています。β-クリプトキサンチンは血中のIgM・IgA濃度の上昇やインターフェロンの生成促進効果が報告されていることから、直接的な免疫力への働きかけがあると考えられています。

また温州みかんに含まれているヘスペリジンはビタミンCと共にコラーゲン生成を促し末梢血管を丈夫に保つほか、末梢血管の透過性を調節する作用もあります。アレルギー反応によって血管透過性が高くなり過ぎることが炎症を悪化させる原因の一つに数えられていることから、末梢血管の透過性を調節するペスペリジンの摂取はアレルギー症状を予防・軽減に繋がるのではないかと考えられています。

風邪予防・回復サポートに

ビタミンCやβ-クリプトキサンチンによる免疫力向上に加え、ヘスペリジン(ビタミンP)とビタミンCは協力して働きコラーゲン生成を促すことで様々な細胞を密に繋ぎウィルスの侵入を抑制することにも繋がると考えられます。温州みかんのβ-カロテン含有量はさほど多くありませんが、β-クリプトキサンチンもプロビタミンAであり必要に応じて体内でビタミンAへと変換されます。このため皮膚や粘膜を保持・強化することにも役立つと考えられますから、ビタミンC・ビタミンPの働きと合わせて風邪などの感染症予防に役立ってくれるでしょう。

これらの成分は抗酸化作用を持つ成分でもありますから、酸化による免疫力低下を防ぐ働きも期待できます。また温州みかん特有の成分である“シネフィリン”は気管支の筋肉を弛緩させる働きがあるとされており、喉に関係する風邪の症状緩和に役立つとする説もあります。ヘスペリジンによる体を温める働きも期待できますから、と共にミカン(温州みかん)が風邪予防・回復サポートに取り入れられてきたのも納得ですね。

便秘・むくみ対策にも

温州みかんの食物繊維量は100gあたり1.0gと果物全体で見ても“下の上”くらいの位置で、特別多いというわけではありません。しかしペクチンなどの水溶性食物が0.5gと多く、食物繊維総量の半分を占めているという特徴があります。水溶性食物は水分を含んでゲル化することで便の硬さを調節する働きのほか、腸内善玉菌の増殖を助けることで腸内フローラのバランスを整える働きもあります。便を柔らかく保つ・腸内善玉菌を助ける働きを持つとされるビタミンCも温州みかんには豊富に含まれていますから、相乗してお腹の調子を整える・腸内フローラの改善効果が期待できるでしょう。

また血流改善や血管透過性を適度に保つ働きがあるヘスペリジンを含むことから、むくみの改善にも役立つと考えられます。特に血行不良や冷えに起因するタイプのむくみ軽減に効果が期待できます。ただし温州みかんのカリウム含有量は100gあたり150mgと果物類の中でも特別多いわけではありませんので、カリウムを補給したい方は別の食材を選んだほうが効率が良いでしょう。

老化・生活習慣病予防に

温州みかんにはビタミンCやβ-カロテン・β-クリプトキサンチン・ヘスペリジンなど抗酸化作用を持つ成分が豊富に含まれています。特にβ-クリプトキサンチンはβ-カロテンやリコピンなどの他のカロテノイドよりも体内での保持時間が長いことが特徴とされており、長期間に渡って抗酸化をサポートしてくれるのではないかとも考えられています。抗酸化成分は活性酸素による細胞や筋肉などの酸化を抑制することで、若々しさや健康維持をサポートしてくれるでしょう。

また抗酸化は酸化LDLの発生を抑えることで、動脈硬化や血栓予防としても注目されています。温州みかんは毛細血管を丈夫に保つ働きがあるヘスペリジン(ビタミンP)とビタミンCと含んでいますし、多くはないもののナトリウムの排出を促すことで血圧降下に繋がるカリウムも含まれています。ヘスペリジンにも血圧降下作用が報告されていますから、高血圧や動脈硬化、心筋梗塞・脳梗塞などの発症リスク低減にも役立ってくれるでしょう。

近年はβ-クリプトキサンチンに2型糖尿病にみられるインスリンの抵抗性を改善する・血糖値を安定させるなどの働きを持つ可能性があることも報告されています。この事から適量のミカン摂取は糖尿病予防・進行抑制にも役立つのではないかと考えられているそう。大量に食べた場合は糖質量過多になる危険性もありますが、温州みかんはβ-クリプトキサンチン以外にヘスペリジンなどの抗酸化物質も含んでいるため糖尿病合併症の予防にも効果が期待されています。

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骨粗鬆症予防に

温州みかんに多く含まれているβ-クリプトキサンチンは破骨細胞数を減少させ骨吸収を抑制する・骨代謝を改善させるなどの働きを持つ可能性があることが報告されてます。農研機構果樹研究所からはβ-クリプトキサンチンの血中濃度が高い閉経女性は骨粗鬆症の発症率が低いことが発表されています。またスジ部分に多く含まれているヘスペリジンも骨の代謝を改善し、骨密度の低下を抑制する働きがあるのではないかと考えられています。

これらの成分から温州みかんは骨粗鬆症予防への有効性が期待されています。閉経後の女性が1日4個みかんを食べると骨粗鬆症発症リスクが90%以上減少するという見解もあるそう。閉経前の女性や男性に対しての効果はそれほど高くないとも言われていますが、抗酸化物質の補給も兼ねて取り入れてみても良いのではないでしょうか。

美肌保持・美白サポート

ビタミンCやヘスペリジン・β-クリプトキサンチンなどの抗酸化物質を豊富に含むことから、温州みかんはお肌など外見面のアンチエイジングにも役立つと考えられています。ややビタミンEが少ないですが抗酸化に役立ち、かつ合わせて摂取すると相乗効果を発揮するとされるビタミンA(β-カロテン・β-クリプトキサンチン)・ビタミンC・ビタミンEの3つを含んでいる果物でもありますね。

また活性酸素による肌ダメージを抑制するだけではなく、ビタミンCやヘスペリジンによるコラーゲン生成促進作用も期待できますし、ビタミンCはチロシナーゼの働きを阻害してメラニン色素沈着を予防することから美白(シミ予防)にも有効とされています。温州みかんの代表成分とも言えるβ-クリプトキサンチンにも、摂取実験ではヒアルロン酸量の増加・メラニン色素生成抑制などの働きが報告されています。

ヘスペリジンなどの働きで毛細血管が丈夫になる・血行が良くなることから、肌にしっかりと酸素と栄養が行き渡りターンオーバーの正常化などにも繋がると考えられます。これらの事から温州みかんはシミやシワ・たるみなどの肌老化を予防するだけではなく、肌のハリや潤いの向上・くすみ軽減などにも効果が期待できるでしょう。

肥満予防効果について

温州みかんに多く含まれているカロテノイドの一種β-クリプトキサンチンは、マウスを使った実験で脂肪細胞の肥大化を抑制する可能性が報告されています。ヒト試験でも内臓脂肪・体重などに減少が報告されており、抗肥満成分としての働きが期待されているそう。また温州みかんの特有成分とされるシネフィリン(シネフリン)もβ3アドレナリン受容体に働きかけて、脂肪分解と熱生産を促進する働きがあると言われています。

そのほかにも温州みかんは水溶性食物繊維を含み余分な脂質の排出を促す・腸内フローラを整える、血行が良くなるので代謝が上がるなどダイエットに有効な働きを持つと考えられます。しかし温州みかんがダイエット効果をもたらす食材かというと、それは微妙なところ。適量であればお菓子など間食やデザートの代わりに摂取することでダイエットサポートにも役立つと考えられますが、糖質量が多い果物でもありますのでミカン+通常通りの食事を摂り運動もしなければ痩せる可能性は低いと考えられます。また食事をミカンに置き換えるなどして多量に摂取するのは止めましょう。

ミカンの皮・スジについて

ビタミンPの一種であるヘスペリジンは「ミカンの白いところも残さず食べよう」と言われるように、果肉(砂じょう)部分よりもじょうのうやスジに多く含まれています。伊藤三郎様編の『果実の科学』によると果肉部分の含有量が100gなのに対し、じょうのう膜(小袋)は950mgと10倍、最も多く含まれているのは中果皮は3800mgとされています。つまり最も多いのは皮の内側の白色の部分になりますから、綺麗に白いところを取らずワイルドに食べた方が健康効果は高いと考えられます。

またβ-クリプトキサンチンも果肉よりも果皮部分に多く含まれていることが分かっています。このため皮付きの温州みかんを40℃程度のお湯で湯通しした後に、フライパンなどで焼いて食べる「焼きミカン」が注目されています。焼きミカンにして皮ごと食べることでヘスペリジン・β-クリプトキサンチンのほかシネフィリン(シネフリン)も多く摂取できるため、食事前に焼きミカンを食べる“焼きみかんダイエット”も提唱されているようです。加熱して皮ごと食べることで体を冷やす心配が減り、冷え性の方にも適しているという説もありますよ。皮ごと食べる場合はノーワックス・無農薬の物を使うようにしましょう。

目的別、ミカンのおすすめ食べ合わせ

ミカン(温州みかん)の選び方・食べ方・注意点

ミカンは食べ過ぎると皮膚が黄色くなる「柑皮症(かんぴしょう)」を起こすことが知られています。これはβ-クリプトキサンチンなどのカロテノイド類が脂溶性であり、皮膚の角質層・表皮・皮下脂紡織に沈着することで起こります。カロテノイド類の摂取量を減らすと徐々に色は元に戻るので特別な治療は必要ありませんが、白目が黄色くなっている場合はミカンの食べ過ぎではなく黄疸の可能性が高いため病院で診てもらうようにして下さい。

美味しいミカンの選び方・保存方法

ミカンは皮の色が綺麗でツヤとハリがあるもの、皮のツブツブが小さく扁平な形のもの、手に持った時にズッシリと重みの感じるものを選ぶと良いと言われています。ヘタが大きかったり茶色っぽくなっているもの・皮に厚みがありフカフカしているものは避けましょう。多少皮にすり傷があるものは問題ありませんが、ぶつけて変色しているもの・日焼けしているものも避けたほうが確実です。

温州みかんの保存は風通しの良い冷暗所がベストと言われています。冷蔵庫で保存する場合は低温障害を起こして傷んでしまったり味が抜けてしまう可能性があるため、冷やしたい場合でも食べる数時間前くらいに入れるようにした方が確実です。購入してすぐの時点で傷んでいる・カビが生え始めているミカンがないかをチェックしておきましょう。

普通ミカンであれば2週間以上日持ちがしますが、極早生・早生温州はあまり日持ちが良くないので一週間以内くらいには食べきるようにしましょう。箱入りのものであれば天地をひっくり返して底側から食べ始め、カビ対策として底に新聞紙を丸めて敷き詰めるなどすると長持ちします。手間はかかりますが一つずつ新聞紙で包んでおくとより長持ちするそうです。

ミカン(温州みかん)の雑学色々

ミカンの皮の活用法

中国で陳皮というとマンダリンオレンジの果皮を干したもの、より厳密には乾燥させてから1年以上経ったものを指します。しかし日本薬局方では“温州みかんまたはマンダリンオレンジの成熟した果皮を乾燥したもの”という定義。このため捨ててしまうことが多いミカンの皮ですが、乾燥させて「手作り陳皮」を作る方もいらっしゃいます。

乾燥させたミカンの皮はショウガや蜂蜜を加えるなどしてお茶のように飲むほか、入浴剤のようにお湯に浮かべて使う事もできますよ。ミカンの皮を入浴剤として利用すると血行が促進されて体が温まるほか、肌がすべすべになる・リフレッシュ効果があるとも言われています。ただし光毒性をもつ成分が含まれている可能性があるので、入浴後は紫外線を避けるようにしましょう。

またミカン果皮は含まれている精油成分の特性を活かし、洗剤の代用にも使われています。簡単なものとしては食器などの汚れを皮の裏側の白い部分でふき取った後、表(オレンジ色の面)でこすって洗い流すと洗剤代わりになるというものがあります。少し手間がかかりますが水分を飛ばしたミカンの皮をガーゼ等ん包んで置いておくと消臭剤になる・数日エタノールに浸したあとその液体を使うと油汚れが落ちるなんて方法もあるそう。お茶のような形で使ったり入浴剤にするのは心配、という場合は消臭やお掃除用に取り入れてみて下さい。

参考元:糖転移ヘスペリジンの期待できる機能性健康に役立つβ-クリプトキサンチンのパワー手作り洗剤の作り方!オレンジオイルクリーナーで油汚れが超スッキリ