食べ物辞典:洋梨
ねっとりとしたまろやかな食感とジューシーさ、芳醇な風味が特徵の洋梨。果物そのままでもスイーツに近い感覚で頂ける果物ですし、時期になると「洋梨のタルト」なども販売されますよね。和梨に比べると普及したのは最近と言えますが、日本でもラ・フランスを筆頭にル レクチエやバートレットなど様々な品種が栽培されています。栄養価は高くありませんが、ペクチンやアルブチンを含んでいることも注目されています。そんな洋梨の種類や歴史、栄養価と期待される健康メリット、食べ頃の見分け方などについて詳しくご紹介します。
和名:西洋梨(せいようなし)
英語:European pear/common pear
洋梨(西洋なし)のプロフイール
洋梨とは
シャキシャキした歯応えが特徴的な日本の梨(和梨)に対して、とろけるような柔らかい食感が特徴的な洋梨。風味としても和梨は瑞々しくあっさりとした印象なのに対して、洋梨はお酒にも例えられる芳醇な香りと味。その濃厚な風味から洋梨はキャンディーなどお菓子類のフレーバーとしても親しみのある存在です。食味についても大雑把にサッパリ系の和梨・濃厚な洋梨と表現できますし、果実の形も和梨は球に近いのに対して、洋梨は下膨れで縦長の形状をしています。体型の比喩として「洋ナシ体型」なんで言葉もありますよね。
こうして特徵を見直してみると、同じ“梨”とは呼ばれていますが全く別の果物のようにも感じられる和梨と洋梨。私達が洋梨と呼んでいるのはバラ科ナシ属に分類される果樹のうち、西洋梨もしくはヨーロッパナシと呼ばれている品種(学名:Pyrus communis)系統のことを指します。梨という言葉は広義であればナシ属全般を指しますが、果物としては大きく「日本なし(和梨)」「西洋なし」「中国なし」の三種類に分けられており、これらは全て別種。同じ様に同属別種の関係にある食材としては桃とサクランボなどがありますから、そう考えれば同じ“梨”とは呼ばれていても全く別の形・風味があるのも納得ではないでしょうか。
ところで、西洋梨と言えばゴツゴツした形で緑がかった果皮の“ラ・フランス”を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。年代によっては洋梨=ラ・フランスという認識の方もいらっしゃるそうですし、お菓子や飲料のフレーバーとしても洋梨味ではなく「ラフランス味」と書かれていることが多いように感じます。しかし洋梨は世界各地で栽培されている果樹で、約4000品種が存在すると言われているほど品種数の多い果物。日本では国内生産量の半分以上を占めているラ・フランスが代表格ではありますが、ラフランスと同じくフランス発祥で雫形のル レクチエ、イギリス原産のバートレット、アメリカ原産のオーロラやブランデーワインなど様々な品種が流通しています。
ラ・フランスは緑色が特徵ですが、近年はスーパーでもバートレットなど果皮が黄色っぽい洋梨をよく見かけるようになったように感じます。レットバートレットなど赤色系の洋梨も少量ですが流通していますよ。ちなみに主産地である山形県からはシルバーベルやメロウリッチなど日本独自の品種も作り出されていますし、近年は北海道でもブランデーワインやレッドバートレットなどの品種が生産されています。和梨文化があった日本では、洋梨の普及は世界的に見て遅い部類と称されることもあります。洋梨は和梨と異なり収穫後に追熟”が必要なため、食べごろの判断が難しかったというのも普及が遅れた原因だとか。お年を召された方が「昔食べたけど不味かった」と仰るのは、好みの問題だけではなく追熟不足だった可能性もありますね。
洋梨の歴史
洋梨にせよ和梨にせよ、祖先と言える種は中国~中央アジアにかけての地域が原産。それが原産地から東西へと伝わり栽培されていく中で和梨・洋梨・中国梨に分化し、さらに多種多様な品種が生み出されていったと考えられています。また一説では7000年ほど前に中国の天山山脈で中国の官吏Feng Li氏が果樹栽培を行い、接ぎ木によって梨を栽培・販売したという話もあります。ともあれ、スイスにある先史時代(紀元前5000年頃)の湖畔住居群遺跡からも梨が発見されているそうですから、かなり古い時代にはヨーロッパへも伝わっていたことが分かりますね。
エーゲ文明期の壁画などとしても梨が発見されていますし、後の古代ギリシアで詩人ホメーロスが記したとされる『オデュッセイア』では梨を“神々の贈り物”と称しています。古代ローマ帝国も梨が大好きで、生で果物として食べる以外に加熱料理したり、発酵させて酢やお酒を作るなど様々に使用したのだとか。品種改良や栽培技術向上にも国をあげて取り組んでいたことが分かっており、紀元前のローマでは既に6種類が栽培品種として存在していたそう。『博物誌』の著者である大プリニウス(1世紀頃)は40種類の栽培品種を確認していたようですし、最盛期には50~60種類の梨がローマ帝国内で生産されていたと考えられています。
洋梨は果物としての美味しさだけではなく、日持ちがするという利点もありました。未完熟時に収穫して持ち歩けることから交易品として役立ったというのも栽培に力を入れられた理由と言えそうですね。交易品として活用されたほか、ローマ帝国は征服した土地にも梨を植えて歩いたと伝えられています。このためヨーロッパ各地に梨が普及しましたが、ローマ帝国の滅亡後には洋梨の栽培も一時は激減してしまいます。中世半ば頃からはヨーロッパ各地で洋梨栽培が再び活発化し、16世紀までには400種以上の栽培種が作られるようになりました。17世紀になると移民達によってアメリカにも洋梨が持ち込まれますし、同様にオーストラリアやニュージーランドなどにもヨーロッパ人によって植えられています。
日本に洋梨が伝わったのは開国してすぐ(明治初期)のことですが、山形県などごく一部の地域しか栽培には適していませんでした。見た目や風味も好まれにくく、産地以外での生食はされず加工用としての生産が主だったそうです。青果としての普及は洋食文化や海外の食材が定着した1970~80年代以降と言われています。ちなみにラ・フランスは19世紀にフランスで発見された品種で、ラフランスというのは日本独自の呼び方。フランスでは発見者の名から“Claude Blanchet”と呼ぶそうですが、現在ほとんど生産されていないためそもそも呼ぶことが無いそう。
洋梨(西洋なし)の栄養成分・効果について
栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
洋梨は水分量が全体の85%と和梨よりも少なく、炭水化物(糖質)がやや多め。カロリーも生100gあたり54kcalと和梨よりも少し高めになっています。ビタミン・ミネラルを幅広く含んでいますが、何らかの必須栄養素をしっかりと補給できるほど含有量は多くありません。
洋梨の効果効能、その根拠・理由とは?
エネルギー補給・疲労回復に
洋梨にはアミノ酸の一つであり、疲労回復に役立つと考えられているアスパラギン酸が含まれています。アスパラギン酸は筋肉や内臓の元となるタンパク質代謝・活動に必要なエネルギーを作り出す糖代謝(糖新生)の両方に関与する物質。そのほかに細胞内で不足したミネラルを効率よく取り入れる働きや、アンモニアの無毒化と排出を促進する働きも期待されていますよ。
こうした働きは代謝の活発化に繋がりますし、アンモニアは疲労の原因物質の一つと目されている存在。このためアスパラギン酸は疲労回復のサポートが期待できる成分として注目され、栄養ドリンクなどにも配合されています。加えて洋梨にはアスパラギン酸以外に、クエン酸回路(TCAサイクル)に関与して代謝を促す働きが期待されているクエン酸などの有機酸類・ブドウ糖や果糖など体内に吸収されやすい単糖類も含まれています。このため洋梨はエネルギーチャージや疲労回復に役立つ果物と考えられています。
ただしクエン酸の疲労回復効果については信頼できる十分なデータがないこと・摂取しても疲労回復効果はないという報告も多くあることから、クエン酸に疲労回復効果は無いという見解が主流ではあります。また、アスパラギン酸の含有量についても100gあたり88mgと、同グラムのアスパラと比較すれば1/4以下。何らかの働きかけが期待できる量とは言えません。アスパラギン酸やクエン酸の作用については根拠が不十分とされている部分も多いですし、有効性が報告された量を洋梨から補給できるわけでもありません。ガッツリ疲労回復用というよりは、自分へのご褒美を兼ねてという感覚で取り入れましょう。
むくみ・二日酔いケアに
洋梨は特別ミネラルを多く含む果物ではありませんが、カリウム含有量は100gあたり140μgと果物類の中では平均的な量と言えます。カリウムはナトリウムと競合して細胞内外の浸透圧を調整するミネラルで、ナトリウムだけが過剰状態になると人の体は水分を取り込んでナトリウム濃度を保とうとします。カリウムを適切に摂取することでナトリウムや水分の排出を促してくれるため、カリウムは利尿効果を発揮してむくみを改善してくれるミネラルと考えられています。
そのほかアスパラギン酸にも塩分やアンモニアを体内に排出する働きが、和梨よりも洋梨に多く含まれている天然型フェノール性配糖体のアルブチンにもリンパの流れを整えて老廃物の排泄促進(利尿)効果が期待されています。カリウムの補給と合わせて、むくみ対策に一役買ってくれる可能性はあるでしょう。カリウムはアルコール摂取後に不足しやすいミネラルでもありますし、洋梨にはアルコール排出を促す働きが期待されるタンニンも含まれています。水分補給にも役立ち口当たりも良いので、二日酔いの時のレスキュー食として取り入れてみても良いでしょう。
便秘予防・改善に
洋梨の特徴といえるのが100gあたり1.9gと、和梨の二倍以上の食物繊維を含んでいることです。果物(青果)類としてみても洋梨の食物繊維量は多い部類で、バナナやリンゴを上回っていますよ。また独特のねっとりとした食感の元にもなっているペクチンの含有量が多く、100gあたりの食物繊維の比率としても不溶性食物繊維1.2g・水溶性食物繊維0.7gと水溶性食物繊維の含有率が高いことも特徴と言えます。
食物繊維は水溶性と不溶性で働きが異なり、不溶性食物繊維類は便の量を増やして腸を刺激する事で蠕動運動を促すことが得意。しかし水を吸うという性質から、水分不足や体質によっては便を固めすぎてしまうデメリットもあります。対してペクチンなどの水溶性食物繊維は水に溶けてゲル化することで便の硬さを適切に保つ働きがあるため、二つの食物繊維をバランス良く摂取することが便秘対策としては効果的だと考えられています。
糖アルコールの一種であるソルビトールにも吸水作用によって便を柔らかくする働きがありますし、洋梨には便を固くしすぎないために必要な水分も豊富。また水溶性食物繊維は腸内で善玉菌のエサになり善玉菌活性化を助けることから、腸内環境を整える手助けも期待できます。腸内フローラのバランスが良くなることからも、お腹の調子が乱れにくくなることに繋がる可能性もありますね。洋梨は便秘気味の方のサポートに適した果物と言えるでしょう。
風邪・夏バテのケアにも
洋梨に含まれているタンニンはポリフェノールの一種で、抗菌作用を持つことが認められています。加えてソルビトールにも緩下作用だけではなく、咳止めや喉の炎症緩和・解熱効果が期待されています。このため風邪予防や初期症状の緩和にも役立つという見解もあり、民間療法の中では声枯れや風邪気味の時に洋梨を食べると喉の不快感を緩和させる・解熱を助けると言われています。洋梨に含まれている量の摂取で効果があるのかは定かではありませんが、水分と糖質の補給に役立つ・利尿作用によって解熱を助けてくれるなどのメリットも考えられます。
加えて洋梨にはタンパク質分解酵素プロテアーゼが含まれているため、消化を助けて体力を取り戻す手助けをしてくれる可能性もあります。水分量が多く食べやすい果物でもありますから、夏バテ時や病中・病後食として取り入れてみても良いかも知れません。
抗酸化・生活習慣病予防に
洋梨には生100gあたりビタミンCが3mg、ビタミンEが0.3g、β-カロテンは0と、抗酸化作用を持つビタミン類はほとんど含まれていません。この数値は『日本食品標準成分表(七訂)』記載のもので、洋梨にも種類がありますから品種や栽培環境によって多少変動すると考えられます。が、ビタミンCの補給で抗酸化や免疫力が高まるという信憑性は低いと考えられます。ビタミン類以外にもクロロゲン酸・フラバノールなどのポリフェノールが含まれていることは認められていますが、抗酸化力が高い果物であるかは微妙なところ。あくまでもスナック菓子を食べる場合などと比べれば…というところでしょうか。
抗酸化作用については若干程度に考えた方が無難と言える洋梨ですが、生活習慣病予防には繋がる可能性があります。カリウムの補給から高血圧予防に役立ちますし、ペクチンなどの水溶性食物繊維には余剰コレステロールを排出する働きも認められています。また水溶性食物繊維は水に溶けてゲル化することで消化スピードをゆっくりにし、血糖値の急激な上昇を抑えてくれるというメリットもあります。極端な働きを期待することはお勧め出来ませんが、取り入れ方次第では健康維持のサポートをしてくれる果物ではあるでしょう。
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美肌・美白サポートにも期待
洋梨は果物に多く含まれるビタミンCやカロテンなどをほとんど含まないため、ビタミン補給源としては期待しない方が確実。しかし若干の抗酸化ビタミン+ボリフェノールを含んでいることから、肌細胞の酸化を抑えてシワ・シミ・たるみなどの予防を手助けしてくれる可能性はあります。また洋梨、特にラ・フランスにはアルブチンが含まれているということも一部では注目されていますよ。アルブチンはシミやくすみの元となるメラニン色素を生成するチロシナーゼという酵素の働きをブロックしてくれる成分で、肌を白く透明感ある状態に導く働きが期待されています。
このため洋梨はアルブチン補給源として紫外線・シミ対策や美白サポートに注目されています。際立って含有量が多いわけではありませんが、アスパラギン酸は肌の新陳代謝も促進したり肌を保湿をする働きが期待されていますよ。アミノ酸の一種でありコラーゲンの抗生物質でもありますから、お肌のハリやキメを整えるのにも必要な物質と言えます。ペクチンなどの食物繊維補給によって便通改善・腸内フローラが改善されることからも肌荒れ予防に繋がるため、綺麗なお肌のサポーターとして取り入れたとしても損は無さそうですね。
和梨と洋梨の違いについて
食感も形状も別物と言っても良い洋梨と和梨。栄養成分として見た場合にはさほど変わりません。差があるのは、カロリーと糖質・食物繊維量くらいでしょうか。和梨のカロリーが100gあたり43kcalなのに対して、洋梨は54kcalと少し高め。この差は炭水化物が多いためではありますが、その分ソルビトールの含有量も洋梨の方が2倍近く多くなっていますよ。食物繊維総量も洋梨の方が多めで、特に水溶性食物繊維量については和梨の3.5倍となっています。ただし和梨には食物繊維と同じ働きをしてくれる石細胞(リグニンやペントザン)が多く含まれていることから、便通改善についてはさほど差が無いとする説もあります。
洋梨のメリットと言えるのは水溶性食物繊維が多いことと、和梨には含まれていないアルブチンが含まれているという点が挙げられます。腸内環境改善や美白を心がけている方には適しているかも知れません。特にラ・フランスはアルブチンが多いと言われていますから、紫外線・シミ対策に取り入れたい方には良いでしょう。ラ・フランスは洋梨類の中でもトップクラスと称されるほど風味にも定評がありますしね。
対して和梨のメリットはカロリーが低く、噛みごたえがあること。ダイエット中の食事の物足りなさ・甘味補給として取り入れられることが多いように感じます。ただし上記の違いがある程度で、約2倍と言っても元々の含有量が多いものでもありませんので必須栄養素について明らかな差があるとは言えません。ちなみにミネラル類はカリウム以外は微量と言って差し支えない程度、葉酸についても100gあたり和梨6μg・洋梨4μgとどちらも補給源とは言い難い程度です。栄養面で決めるよりも、気分や好み・旬の時期に合わせて嗜好品として食べることをお勧めします。
↓和梨についてはこちら
洋梨(西洋なし)の選び方・食べ方・注意点
洋梨にはアントシアニン類やカロテン類(ルテイン、ゼアキサンチンなど)が含まれていると表記されているものもありますが、こうした色素成分系のポリフェノールは主に果皮に含まれています。アスパラギン酸やビタミンCの含有量についても皮の方が多いことが認められていますから、抗酸化作用や美肌効果を期待する場合には皮ごと食べるのが効果的であると考えられます。しかし残留農薬の関係もあり、皮ごと食べるのが良いかについては意見が別れています。こちらのブログではお腹が壊れるというレポートもあります。この記事がかかれた頃よりは農薬を減らす・安全なものを使うという努力をされていると思いますが、生産者さんによっても違う部分もあると思うので不安な方は皮を向いた方が無難でしょう。
洋梨は切ってから置いておくとリンゴなどと同じく変色してしまいます。切り分けてから食べるまでに時間が空いてしまう場合であれば、レモン汁や塩水などを絡めておくと変色を軽減できます。また冷蔵庫でキンキンに冷やしてしまうと香りや味を感じにくくなるため、食べる1~2時間前に冷蔵庫に入れるのが最も美味しいとされています。
美味しい洋梨の選び方・保存方法
洋梨は熟す前に収穫し、予冷と追熟過程を経て美味しく食べられるようになる果物です。店頭に食べ頃になったものを並べているお店もあれば、まだ熟しきっていないものを並べている場合もあります。青果店であればお店の方に確認するのが確実ですが、スーパーなどで購入する場合には自分でしっかりと追熟しているかと食べ頃を確認しなければ行けない場面もあるかと思います。
追熟されているかの確認方法としては、香りの強さ・軸の周辺の果肉を軽く押した時の柔らかさが目安。ただし店頭のものを片っ端から指で押してしまうと果物を傷めて迷惑になってしまいまう可能性があるので、購入時には果皮に傷・変色が無いかを主に確認しましょう。同じくらいの大きさであれば、持った時にずっしりと重みのある物を選びます。買って早めに食べたい場合はお尻に鼻を近付けた時に良い香りがするものを。
購入した洋梨はお家で熟し度合いを確認します。
軸の周辺の果肉を軽く押してみて、少し柔らかいと感じる程度になったら食べ頃。軸を揺らしてみてユラユラと動くようになったら食べるという方もいらっしゃいます。洋梨は完熟してしまうと痛みが早く、風味が落ちたり果肉が変色してしまいます。指で押してハッキリと“柔らかい”と感じるもの・鼻を近付けなくても香りが漂ってくるものは熟し過ぎの可能性が大。個人的には熟し過ぎの洋梨よりも完熟一歩手前の方が美味しく感じるので、不安な場合は早めに食べることをお勧めしたいです。
また追熟が必要そうな洋梨であれば、乾燥を避けるために紙袋に入れて室温(15~20℃くらい)で置いておきます。30℃を超えるくらいの温度になってしまうと追熟障害が起きて、熟さないのに風味だけ抜けると残念な結果になってしまうので注意。早く食べたい時はエチレンガスを放出するリンゴや柿・バナナなどを同じ紙袋に入れると良いです。逆に追熟を遅らせたい場合は10℃前後の場所に置いたり、野菜室に入れておくことで調節できますよ。
完熟したものは痛みが早いので常温であれば2~3日以内に食べきるのが吉。冷蔵庫に入れておけばもう少し保存できますが、食べ切れ無さそうな時は冷凍するのが確実です。果肉だけの状態にしてからレモン汁を絡めて冷凍庫へ入れてください。解凍して普通に食べても問題ありませんが、半溶けくらいのタイミングで食べると高級シャーベットのような食感と風味を楽しめます。
洋梨の活用方法
梨に含まれている消化酵素プロテアーゼはタンパク質を分解する働きがあります。そのため肉を食べた後のデザートとして食べることで消化を助けると言われていますが、すりおろして漬けダレなど料理の下ごしらえとして利用することでお肉を柔らかくすることも出来ます。洋梨は香りも良いので、カレー用の肉の下ごしらえなどに利用することで肉の柔らかさ維持+隠し味としての風味付けにも役立ってくれるでしょう。
参考元:Exploring Pears: This Ancient Fruit Has a Story to Tell/果実の知識【西洋梨】<丸果石川中央青果>/アスパラギン酸で疲労回復