自然薯/山芋の栄養成分と働き
|老化や肥満予防に注目のジオスゲニンとは?

食べ物辞典:自然薯/山芋

大地を感じられるような風味があり、とろろにして食べられることの多い自然薯。日本では縄文時代以前から食べられてきた食材で、生薬や精進料理の食材としても重宝されてきました。近年の研究でもジオスゲニンというDHEA(ステロイドホルモン)と似た成分が含まれていることが認められており、若々しさの維持や肥満・生活習慣病予防など様々な健康メリットがあるのではないかと期待されています。そんな自然薯について、長芋との違いや食の歴史・含まれている栄養成分と期待される働きをご紹介します。

自然薯/山芋のイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:ヤマノイモ(山の芋)
英名:yamaimo/Japanese mountain yam
学名:Dioscorea japonica

自然薯のプロフイール

自然薯(山芋)とは

日本で古くから滋養強壮に良い食材として親しまれ、別名「山うなぎ」とも呼ばれる自然薯長芋をすりおろした時とは比べ物にならない重く強烈な粘り気があり、出汁で伸ばさなければ箸で持ち上げられるほど。ちなみに自然薯は自然生(ジネンジョウ)や山芋(ヤマノイモ)などと呼ばれることもありますが、正式和名は“ヤマノイモ”とされており、自然生は天然物のみを指すという見解もあります。しかしヤマイモとヤマノイモの混同問題もありますし、栽培されたヤマノイモが「自然薯」として販売されていることも事実。このため、下記では分かりやすいようにヤマノイモ(Dioscorea japonica)のことを自然生として紹介されていただきます。

自然薯/ヤマノイモはヤマノイモ科ヤマノイモ属に分類される蔓性多年草の一種。自然薯やとよく似た存在として長芋や大和芋があり、生食でき粘り気のあるイモ類のことを総称して「山芋(ヤマイモ)」と呼んでいる場合もありますが、実は自然薯と長芋などは別種。自然薯は学名Dioscorea japonicaですが、長芋・大和芋・イチョウ芋などはDioscorea polystachyaという種の品種です。この2種は外見や芋と呼ばれている肥大した担根体の姿や粘り気が似ていること、ヤマノイモ属の食用種の総称として「ヤマイモ」という言葉が使われたことでヤマノイモとの区別が曖昧になったことで混同されやすくなっているようです。ヤマイモ・ヤマノイモ、どちらも漢字では“山芋”になってしまいますしね。ちなみに食材としても使われる“むかご”は球状になった山芋類の脇芽部分で、自然薯にも長芋にも出来ます。

↓長芋類についてはこちら

種小名にjaponicaが付けられているように自然薯は日本原産の植物。北海道から九州まで広い範囲に自生しており、日本人は大昔から芋を掘り出して食べていたと推測されています。自然薯の“薯”という文字は元々、中国原産の長芋を薯蕷と呼んでいたことから芋を意味する文字として使われるようになったようです。ジャガイモのことも昔は馬鈴薯と言っていましたしね。人の手で栽培していた里芋や長芋類に対して、自然薯は「自然に生えている薯(芋)」だったと考えられます。もしくはそのまま山に生えている芋=山芋(ヤマノイモ)と呼ばれていたのでしょう。とは言え現在はむかごの状態から自然薯(ヤマノイモ)の栽培が行われており、地中にパイプを通すことで真っ直ぐに大きく育つよう工夫もなされています。

長芋類の多くは一年で収穫可能なところまで根が成長することから“一年芋”という別名があるのに対し、天然の自然薯は1年で10数センチ程度しか伸びません。このため1m近いサイズになるには5年近くかかり、栽培物であっても長芋よりは成長に時間がかかるそう。長芋と比べると数倍~ゼロが一つ多いくらいのお値段になるのも納得ですね。天然物の方が粘り気や風味は強いと称されますが、栽培物も風味も豊かで良く言えば甘みがあり大地を感じられるようなお味。自然薯はとろろにする以外に、磯辺揚げ・サラダ・お饅頭や軽羹など和菓子の材料としても利用されています。利用法としては長芋とほぼ一緒で互換出来ますが、自然薯の食感・風味にこだわる方・メーカーさんも少なくありません。

自然薯の歴史

自然薯(ヤマノイモ)は日本が原産で、大昔から全国各地の山に自生していました。このため日本国内での食材としての歴史は米よりも古く、農耕・稲作が普及するより以前には貴重な栄養源・炭水化物補給源の一つだったと推測されています。自然薯の旬は冬なので、栽培・保存技術の低い当時には冬場に山を掘ったら出てくるというのも有り難かったのではないでしょうか。長芋類については中国大陸から持ち込まれたという説もありますが、日本でポピュラーな品種は日本発祥説もあり原産ははっきりしていません。このため国内では日本産ナガイモなどとも呼ばれていますが、英語では長芋類のことを“Chinese yam”と呼ぶのに対し、自然薯は“Japanese (mountain) yam”という風に呼び分けることが多いようです。

縄文末期頃からは人々の生活が狩猟・採集から農耕へとシフトしていきましたが、自然薯は変わらず山菜の一つとして食されていました。当時の農耕技術ではおそらく自然薯の栽培は行えず、山を歩いて天然物を発見→時間をかけて掘り出す必要があったようです。また、天然の自然薯は全てが立派な形をしているわけではなく捩れたゴボウ・薬用人参のような形状のもの、イチョウ芋の様にゴツゴツした塊になっているものもあります。太め&長めの自然薯はレアなんですね。このため階級や貧富の差がはっきりと別れた奈良~平安時代になると立派な自然薯は皇室や上級貴族が口にする高級食材として扱われるようになりました。平安時代を舞台にした芥川龍之介の小説『芋粥』も主人公の下級貴族の“芋粥を飽きるほど食べたい”という夢を軸に展開しますしね。当時は芋粥といえば薄切りの自然薯を炊いたものを指していました。

自然薯が富裕層に好まれたのは味だけではなく、薬効があると信じられていた関係もあると考えられます。この時期には中国から皮を剥いた根茎を乾燥させた“山薬”が生薬として伝わっており、日本では自然薯(ヤマノイモ)も同様に“山薬”として利用しています。漢方で“山薬”は滋養強壮に優れ、胃腸機能向上・耳や目を良くして長寿に導くとされています。貴重で美味しく薬効もある、貴族たちがこぞって欲しがる条件ではないでしょうか。自然薯は精進料理の食材としても重宝され、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康など名だたる戦国武将たちにも献上されていたと伝えられていますよ。高級食材とは言え山間部に住んでいた方々は季節になれば自然薯を食べていたでしょうし、江戸時代に入る頃には街場の庶民も「精がつく食材」として親しんでいたようです。

江戸時代と言えば日本の食文化が花開いた頃合い。自然薯についても米粉と混ぜた薯蕷麺・蕎麦の繋ぎに使った自然薯そばなどの記述が見られますし、軽羹などの和菓子にも使われることが多くなりました。また、とろろを伸ばして麦飯にかけた「麦とろ」も東海道五十三次の鞠子宿の名物として旅人たちに愛されてきました。十返舎一九の『東海道中膝栗毛』でも名物とろろ汁を食べているシーンがありますし、歌川広重も浮世絵でとろろ汁を食べる旅人を描いています。いつから食べられていたかは定かでないものの、江戸時代にはすった山芋をそばつゆに入れた山かけそばも存在していたようです。江戸にはほぼ現在と同じような食べ方がなされていたんですね。

自然薯の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

自然薯は生100gあたり121kcalと同グラムで比較すると長芋の約2倍のカロリーがあり、炭水化物性も多め。栄養価としてはナガイモ類の中でもポピュラーな長芋よりも大和芋に近い印象です。カロリーや糖質量も長芋より多いですが、食物繊維やビタミン・ミネラルなどの必須栄養素の含有量も多め。精がつくと言われるのも納得、山芋類の中では栄養価の高い部類と言えます。

とろろのイメージ画像

自然薯の効果効能、その根拠・理由とは?

疲労回復・胃腸サポート

自然薯(ヤマノイモ)は古くから滋養強壮・胃腸サポートに役立つ食材と考えられ、現在でもスタミナ食の一つとして親しまれています。ビタミン類では抗酸化作用を持つビタミンEと代謝に関わるビタミンB群が多く、酸化ストレスの抑制や三大栄養素の代謝を促すことで疲労・疲労感の軽減に期待。加えて自然薯に含まれているアミノ酸の一種であるアルギニンや水溶性ビタミン様物質のコリンなどにも疲労回復を持つ可能性が示唆されています。

栄養補給や疲労回復には効果が期待できる自然薯ですが、胃腸機能のサポートについては疑問視する声もあります。通説として自然薯には消化酵素のアミラーゼが含まれていて消化に良い・ムチンを含むことから胃腸粘膜の保護になるという説がありました。しかしながら2009年に大阪青山大学健康科学部健康栄養学科の実験では“すりおろしたヤマノイモのアミラーゼによって生でんぷん粒が分解されることはない”ことが報告されていなsyす、ムチンと呼ばれるねばねば成分についても私たちの体内、胃液・唾液・涙・粘膜などに存在する動物性粘性タンパク質とは別の糖タンパク質(マンナンタンパク質の混合物)であることから人体への作用は分かっていないことが指摘されています。

ムチンに似た植物性糖タンパク質、時折“ムチン型糖タンパク質”とも呼ばれる野菜や海藻のネバネバ成分の作用については否定的な見解もある一方、ムチンと似た粘り気・結合様式を持つことから胃腸粘膜の保護や目の乾きを抑えるなどムチンの手助けをするのではないかという説もあります。この辺りはフィトエストロゲンなどと同様に未解明で、研究数も少ないというのが実態のようです。ネバネバ成分の有効性は認められていませんが、中医学(漢方)は経験医学ではありますから、何らかの形で自然薯や長芋が胃腸機能のサポートをしている可能性も否定できません。

抗酸化・アンチエイジングに

自然薯は生100gあたり4.1mgとビタミンEを豊富に含む食材。似た食味の長芋や大和芋のビタミンE含有量は100gあたり0.2mgですから、ビタミンE補給に優れていることは自然薯特有の利点とも言えます。ビタミンEは抗酸化作用を持つことから「若返りのビタミン」とも称される栄養素。自然薯にはビタミンE以外にもビタミンC、ペオノールなどのフェノールやフラボノイドと抗酸化物質が含まれています。こうした抗酸化物質の補給は活性酸素/フリーラジカルによる酸化を抑制し、体を若々しく健康な状態に保つ手助けが期待されています。

加えて近年は自然薯にジオスゲニン(Diosgenin/ディオスゲニンとも)というステロイドサポゲニンが含まれていることも注目されています。このジオスゲニンは性ステロイドホルモン前駆体であるDHEA(Dehydroepiandrosterone/デヒドロエピアンドロステロン)に構造が類似していることが特徴で、補給することでDHEAほか性ステロイドホルモンを増加させる可能性が示唆されています。DHEAは男性ホルモンや女性ホルモンの原料となる以外に、免疫機能や代謝機能・ストレス緩和など様々な働きを持つ可能性が報告されています。

DHEAが多い人ほど長寿であるという統計報告もあることから、メディアでは「マザーホルモン」や「長寿ホルモン」と称されることもある存在です。DHEAに関しても未解明な部分が多くジオスゲニンの働きも研究途中ではありますが、こうした理由から自然薯を食べてジオスゲニンを補給する→DHEA増加による老化予防に繋がるのではないかと期待されています。

生活習慣病予防に

抗酸化物質の補給は生活習慣病、特に高血圧や動脈硬化などの血管疾患の予防にも繋がる可能性があります。アテローム性動脈硬化は活性酸素/フリーラジカルの増加により血中のLDL(悪玉)コレステロールが酸化されることがリスクファクターとされていますし、酸化された脂質が多いと血液の流れが悪くなり高血圧を起こす可能性もあります。自然薯には抗酸化物質だけではなく、生100gあたり550mgとカリウムも豊富。カリウムは余剰ナトリウムの排出を促すことで血圧の上がり過ぎを防ぐ役割もありますから、合わせて高血圧予防のサポートに繋がるでしょう。

そのほかムチン型糖タンパク質の構成物質であるマンナンなどの水溶性食物繊維には血糖値・コレステロールを抑える働きが、コリンには肝臓への脂肪蓄積を抑える働きや血圧降下作用も期待されています。また、平成26年に立命館大学から発表された2型糖尿病モデルラットを使った実験では、8週間のジオスゲニンの投与で空腹時血糖・インスリン濃度・インスリン感受性に有意な改善が見られたことも報告されています。ジオスゲニンと構造が似ているホルモン前駆体DHEAは動脈硬化や脂質異常症の予防・代謝向上による体脂肪減少効果なども期待されている物質。このため抗酸化物質の補給と合わせて、自然薯はメタボリックシンドロームや生活習慣病予防にも注目されています。

便秘・むくみ予防に

自然薯のネバネバ成分である糖タンパク質は多糖類・水溶性食物繊維によって構成されているため、体内では水溶性食物繊維と同じくプロバイオティクスとして働くのではないかと期待されています。水溶性食物繊維は水に溶けてゲル状になることで便の固さを調節するほか、腸内善玉菌の栄養源となることで増殖を助ける働きもあります。

自然薯は食物繊維が豊富な食材でもあり、生100gあたりの食物繊維総量は2.0gと長芋の倍。内訳としても不溶性食物繊維1.4g:水溶性食物繊維0.6gと水溶性食物繊維の比率が多い傾向にありますから、バランスの良い食物繊維補給源として便秘予防・お腹の調子を整えるサポートをしてくれるでしょう。ナトリウムを排出されることで余分な部位分の排出を促してくれるカリウムも同グラムで比較すればキュウリ冬瓜の2倍以上も含まれていますから、カリウム補給源としてむくみ対策にも繋がります。

ダイエットのサポートに

食物繊維の補給は便通を整えるだけではなく満腹感の維持にも繋がります。自然薯は100gあたり121kcalと野菜としてみるとカロリーが高めなものの、食物繊維や代謝に関わるビタミンB群が豊富。アミノ酸の一種であり自然薯にも含まれているアルギニンは成長ホルモンの合成を促進することで脂肪燃焼を向上させる・タンパク質の合成を高める働きを持つ可能性があることも報告されています。

また、DHEAは筋肉の維持や代謝機能向上に関与している可能性もあり、肥満予防の方面からも注目されているホルモン。DHEA様作用が示唆されているジオスゲニンにも同様に代謝を高めて体脂肪を減らす働きが期待されています。自然薯にはアルギニンとジオスゲニンが含まれていることから、適度な運動と組み合わせて摂取することで筋肉量増加や脂肪燃焼を促してくれる可能性もあるでしょう。そのほかアルギニンやビタミンEは血管拡張作用によって血行を促進する働きもあります。血液循環が改善されると冷えの改善や、体のすみずみまで血液が酸素と栄養素を届けることで基礎体温や基礎代謝の向上にも繋がります。

免疫力サポートに

自然薯など山芋類に含まれているジオスゲニンと酷似した構造のホルモンDHEAは免疫機能にも関与していると考えられること、ジオスゲニンに抗インフルエンザウィルス作用を持つ可能性が示唆されていることから、ディオスコリン抽出物を含むサプリメントの研究開発も行われています。

それ以外にも自然薯には胸腺刺激によるT細胞・NK細胞の分泌促進やオルニチンに変化して免疫細胞(マクロファージ)を活性化させる可能性があるアルギニン、腸内環境を整えてくれる水溶性食物繊維など免疫機能サポートが期待されている成分が含まれています。抗酸化や不足なくビタミンB群を摂取することからも免疫機能の低下予防に繋がりますから、栄養補給の面でも免疫機能のサポートが期待できそうですね。

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女性領域でのサポートも期待

ヒトの副腎で産生されるステロイドホルモンのDHEAはエストロゲンおよびアンドロゲンの前駆物質でもあります。DHEA分泌は20代でピークを迎え、加齢と共に分泌量が減少していくことが分かっています。自然薯に含まれているジオスゲニンはこのDHEAと構造が似ており、補給することでDHEAほか性ステロイドホルモンを増加させる可能性が示唆されている成分。このためエストロゲンの分泌減少によって起こる更年期障害の軽減や、ホルモンバランスの乱れに起因する月経不順・PMS(月経前症候群)などの軽減に役立つのではないかという見解もあります。ただしジオスゲニンがヒトに与える影響についてはまだほとんど分かっていませんから、現時点では希望的観測レベルの話です。

美肌保持・アンチエイジングに

自然薯はビタミンEが豊富で、ビタミンCなどの抗酸化物質も補給できる食材です。抗酸化物質を補給して肌細胞の酸化を抑えることはシワやたるみ・くすみなど肌の老化現象の発現を遅らせることに繋がると考えられるため、お肌のアンチエイジングサポートにも期待できるでしょう。また自然薯はビタミンEのほかビタミンB6も生100gあたり0.18mgと比較的豊富。ビタミンB6はタンパク質・アミノ酸代謝に使われるため、不足すると湿疹などの皮膚炎のリスクが高まります。ビタミンB6以外のビタミンB群も含まれていますし、便通改善にも役立つ食材なので肌荒れ予防にも繋がるでしょう。

加えてビタミンEは末梢血管を拡張させ末端まで血液が行き届くようにサポートしてくれる栄養素でもあります。血行が良くなると肌にしっかりと酸素と栄養が供給され、新陳代謝向上・ターンオーバーの正常化にも期待できるでしょう。血行不良はくすみ・くま・乾燥小じわなどの原因にもなりますから、ささやかな肌のお悩み改善に役立つ可能性は十分にありますね。そのほかDHEAを服用することで皮膚の色素沈着の改善が見られたという報告もあり、DHEAはも肌代謝を活性化させメラニン色素の排出を促進する働きも期待されています。DHEA様物資であるジオスゲニンの補給も美肌作りのサポートに繋がるかもしれません。

目的別、山芋のおすすめ食べ合わせ

山芋の選び方・食べ方・注意点

自然薯に含まれている糖タンパク質や酵素は熱に弱い性質があると言われています。ビタミンB群やカリウムなど水溶性の栄養素も多いので、すりおろす・カットしてサラダにするなど生でそのまま食べるほうが効率よく栄養成分は補給できるでしょう。酸素と触れた部分から変色していってしまうので、すぐに食べない場合はスやレモン汁を少量かけておくと良いでしょう。

自然薯も長芋や里芋と同じく、触れた部分が痒くなることがあります。これは表皮に近い部分にシュウ酸カルシウムが多く含まれているため。厚めに皮を剥くようにすると痒くなりにくいと言われていますが、長芋よりも細身の自然薯だと難しい場合もありそうです。シュウ酸カルシウムの酢に溶けやすい性質を生かして手を薄めた酢やレモン汁に浸けてから皮を剥く、かゆみを感じた時にすぐに洗えるよう近くにスタンバイしておくと良いかもしれません。

美味しい自然薯(山芋)の選び方・保存方法

天然物の自然薯はいっそアーティスティックと言えるほど様々な形があり、栽培物も形状にはかなりバラつきがあります。捩れたような形状であったりやや小ぶりなものは下ごしらえが大変なこと・見栄えの問題からややお安く販売されていますが、味に問題はありません。反対にあまりにも太い・大きすぎるものは大味になっている可能性があるため注意。購入時はひげ根が乾燥しておらず、切り口がきれいなものを選ぶようにしましょう。

自然薯は貯蔵性が高い食材。温度と湿度が管理されている貯蔵庫であれば半年以上保存できるそうです。とは言え一般家庭でそこまでの長期保存は無理。新聞紙に包んで冷暗所もしくは冷蔵庫の野菜室へ入れ、一ヶ月以内には食べ切るようにしましょう。それ以上保存したい場合はすりおろして「とろろ」の状態してから小分けして冷凍した方が確実。カット状態で冷凍したい場合は一度酢水に付け、水気を拭ってから冷凍すると黒ずみにくいです。

自然薯の注意点

自然薯に含まれているジオスゲニンは性ホルモンの産生を増加させる可能性があります。どの程度の働きがあるのかは分かっていませんが、乳がんや子宮内膜癌などのエストロゲン依存性腫瘍・前立腺がんなどのアンドロゲン依存性腫瘍のある方、またはその疑いのある方は摂取を控えるか医師に相談することをお勧めします。

【参考元】